減量維持に成功している人達の食生活の特徴は?

2021年9月24日

はじめに

当サイトでは以前、減量プログラムから半年後の体重の変化を追った論文をもとに、一度減量した体重を長期間にわたって維持することの難しさを言及しました。

今回は、減量プログラムによる体重減少後、1年以上その減量を維持している者と、体重が安定している肥満者を対象に栄養調査を行ったアメリカの論文を紹介します。

論文概要

出典

Pascual, R. W., Phelan, S., La Frano, M. R., Pilolla, K. D., Griffiths, Z., & Foster, G. D. (2019). Diet Quality and Micronutrient Intake among Long-Term Weight Loss Maintainers. Nutrients, 11(12), 3046. https://doi.org/10.3390/nu11123046

方法
対象者は下記の2グループ
・減量維持成功者(Weight loss maintainers: WLM):ウェイトウォッチャー社(ダイエットプログラム大手企業)のプログラムによって1年以上9.1kg以上の減量を維持している1207人
・対象群(Control: CON):肥満(BMI30以上)で体重が安定している102人

アンケート調査項目
・Diet History Questionnaire-II
・Healthy Eating Index-2015 (HEI)
・Dietary References Intake

結果
・食生活の質を表すHEIのスコアは、WLMが高かった(WLM: 70.2、CON: 60.1)
・各種のビタミンやミネラルの摂取はWLMで多かった
・CONに比べると、WLMは炭水化物・タンパク質からのエネルギー摂取が多く、脂質からのエネルギー摂取が少なかった(図参照)
・平均のエネルギー摂取量は有意差がなかった(WLM: 1502kcal、CON: 1552 kcal)

解説

ウェイトウォッチャーは、減量を目的とした食事療法やカウンセリングなどを提供する米国で有名な商業プログラムです。

この論文は、肥満者と比べると、減量維持に成功している者は、食生活の質が高く、脂質からのエネルギー摂取の割合が低かったという結果になりました。
ここで言う食生活の質とは、主にビタミン・ミネラルといった微量栄養素のことで、実際、推定平均必要量を満たしている人の割合は、減量維持成功者で多かったです。

ただし他の関連論文にも言えることですが、対象者の記入・回答に頼った栄養調査は、実際の食生活をどこまで正確に反映しているのかという点に常に注意を払う必要があります。
たとえば、この論文の対象者の摂取カロリーは体重を踏まえると、過少評価されている可能性が高いです。
(コントロール群のように体重が100kgを超える人の1日の摂取エネルギーが1552kcalだとしたら、体重は安定せずに減少すると考えられる)

また、この論文は1回の調査に留まっており、減量維持成功者の減量開始前からの食生活の変化の過程については不明です。
減量成功者の食生活の変化を解き明かす縦断調査が待たれます。

まとめ

肥満者に比べると減量維持成功者は健康的な食生活を送っている

減量

Posted by Health Freak