新型コロナウイルスの感染拡大によって中国の学生の体重は増加

2021年9月13日

はじめに

当サイトではこれまでにCOVID-19が健康に与える影響について様々な観点から触れてきました。

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今回は中国で行われた調査をもとに、COVID-19流行前後の学生の体重と生活パターンの変化を報告した論文を紹介します。

論文概要

出典

Jia, P., Zhang, L., Yu, W., Yu, B., Liu, M., Zhang, D., & Yang, S. (2021). Impact of COVID-19 lockdown on activity patterns and weight status among youths in China: the COVID-19 Impact on Lifestyle Change Survey (COINLICS). International journal of obesity (2005), 45(3), 695–699. https://doi.org/10.1038/s41366-020-00710-4

方法
中国の全国規模の調査(COVID-19 Impact on Lifestyle Change Survey)の研究データを利用
本論文の対象者は学生(高校・大学・大学院)10,082人

2020年5月上旬にオンライン上でアンケート調査を実施
対象者は、COVID-19によるロックダウン前(20219年12月23日―2020年1月23日)とロックダウン後(2020年4月8日―5月8日)の体重と生活パターンを回答

結果
・年齢は19.8歳±2.3歳(平均値±平均値)
・高校生が2824人、大学生が7024人、大学院生が234人

・BMIはロックダウン前が21.8㎏/m2、ロックダウン後が22.1㎏/m2(有意な増加)
・BMIからみた過体重(23㎏/m2以上27㎏/m2未満)の割合はロックダウン前が21.4%、ロックダウン後が24.6%であった(有意な増加)

・BMIからみた肥満(27㎏/m2以上)の割合はロックダウン前が10.5%、ロックダウン後が12.6%であった(有意な増加)

・過体重/肥満者の割合は男子大学院生で最も多かった(46.3%)

・ロックダウン前に比べてロックダウン後では通勤/用事のための活動的な時間、中-高強度活動時間、余暇活動での中―高強度活動時間、余暇活動での歩行時間が減少

・ロックダウン前に比べてロックダウン後では座りがちな時間、睡眠時、TVやコンピュータのスクリーニング時間が増加

解説

1万以上の学生を対象とした論文です。
この論文は、ロックダウン後では中国の学生の過体重/肥満者の割合が増えたことを報告しています。
また、ロックダウン後では彼らの日常生活のうち、非活動的な時間が多くなっていることも報告しています。

この論文は調査項目も限定されていたため、詳細な因果関係を言及するには限界があります。
ただし、COVID-19の感染を防ぐために多くの人々が外出を避けるようになったことや、教育機関でオンライン授業の導入が進んだことが関係していると思われます。

日本人学生を対象とした同様の論文は今のところ見当たりませんが、COVID-19の感染によって日本の教育機関もオンライン授業の導入が進んだため、同様の傾向を示す可能性は大いに考えられます。

過体重/肥満が及ぼす影響は様々ですが、若年者においても肥満や不十分な身体活動レベルなどは将来の心疾患のリスク因子と考えるため、健康的な生活を過ごすことの重要性は他の年代と変わりません。

まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大によって中国人学生は太った模様