筋トレのダメージは強度負荷よりも量負荷で著しい

はじめに

以前の記事で、筋トレのダメージは総負荷量が一緒でも、オールアウトの有無によって異なることを紹介しました。

今回は、強度(%1RM)、量(反復回数)が異なる2つの筋トレを行う前後に神経筋系パフォーマンス、筋ダメージなどを測定した論文をみていきます。

論文概要

出典

MBartolomei, S., Sadres, E., Church, D. D., Arroyo, E., Gordon, J. A., III, Varanoske, A. N., Wang, R., Beyer, K. S., Oliveira, L. P., Stout, J. R., & Hoffman, J. R. (2017). Comparison of the recovery response from high-intensity and high-volume resistance exercise in trained men. European journal of applied physiology, 117(7), 1287–1298. https://doi.org/10.1007/s00421-017-3598-9

方法
スクワットの1RMが体重の1.5倍以上の男性トレーニー12名を対象
次の2つの筋トレセッションを別日かつランダムに実施
・高強度(High Volume: HV):8セット×3回@90%1RM-3分休息
・高ボリューム(High Intensity: HI):8セット×10回@70%1RM-1分15秒休息
種目はバーベルスクワット
所定の回数がこなせなくなった場合、次のセットでは重量を減少

セッションの前(ベースライン)から72時間後にかけて形態指標、パフォーマンス指標、血液指標、主観的指標を測定

■測定指標
・形態指標
右大腿を対象に超音波検査を実施
筋横断面積、筋厚、Echo intensity

・パフォーマンス指標
垂直跳びのピークパワー(CMJP)
膝関節伸展の最大随意等尺性筋力(MVIC)、等速性筋力
等尺性のスクワット

・血液指標
ミオグロビン、LDH、クレアチンキナーゼ、IL-6、CRP、テストステロン、コルチゾール

・主観的指標
Muscle painとsoreness

結果
主なものを抜粋

CMJPの低下はHVで著しく、48時間後でも未回復

筋横断面積の増加はHVで著しく、48時間でも未回復

Echo intensityの増加はHVで著しい

コルチゾール、IL-6の増加はHVで著しい

クレアチンキナーゼは両群ともに24時間後まで増加

Muscle sorenessの激しさはHVで著しく、72時間後でも未回復

解説

この論文は、
・セット数が同じ
・毎セット所定の反復回数まで頑張る
(所定の反復回数まで出来なくなった場合は次のセット数で重量を落とす)
という条件の場合でスクワットを実施した場合、重量が軽い、すなわち反復回数が多いトレーニングの方がダメージが著しく、回復に時間がかかることを示しています。
Muscle sorenessも72時間後まで元に戻っていないことから、トレーニーたちはかなりダメージを感じていたと推察できます。

論文の著者らは、HVとHIの両方のトレーニングにおけるパフォーマンスの低下の時間経過が炎症反応の程度に影響を受けた可能性を示唆しています。
具体的には、HVではトレーニングの30分後に筋横断面積が著しく増加しましたが、これは過血流によるものであり、HVで特異的に見られた現象です。

論文にはトレーニングの総負荷量に関する記述はありませんでしたが、HVの方が総負荷量が大きかったと推測できます。
例えば、仮に1RMが100kgの人が8セットともに同じ重量で所定の回数をやり続けた場合、次のようになります。
HI:2160kg
HV:5600kg
ちなみに、このケースにおいて、総負荷量を揃えるためには、HVが3セットにまでセット数を減らす必要があります(2100kg)。

現場レベルでは、セッションを総負荷量ではなく、セット数に基づいて構築する方が一般的ですが、強度以外の要因がトレーニングの結果に影響を与えている可能性を考慮する必要がありそうです。
そのため、「強度が高いトレーニングはダメージが小さい」という単純な解釈は適切ではないことに注意が必要です。

まとめ

強度の高い筋トレは結果的にダメージが小さい