COVID-19はライフスタイルに影響を与えたか?

2021年6月19日

はじめに

COVID-19の感染拡大は世界中に大きな影響を与えています。
多くの国の政府は、感染拡大を防ぐために外出制限・都市封鎖といった措置を講じました。
このような社会政策は、体重管理に関係するライフスタイル(健康的な食生活、ドカ食い、運動習慣、睡眠、アルコール消費)にも影響を与える可能性があります。

今回は、イギリスの成人がCOVID-19流行前後で体重管理に関係するライフスタイル行動がどの程度変化したのか、またその変化と関連する要因は何なのかを検証した論文をみていきます。

論文概要

出典

Robinson, E., Gillespie, S., & Jones, A. (2020). Weight-related lifestyle behaviours and the COVID-19 crisis: An online survey study of UK adults during social lockdown. Obesity science & practice, 6(6), 735–740. https://doi.org/10.1002/osp4.442

方法
977人が研究に参加したが、データの欠損などのため最終的な分析対象は723名
対象者は約15分のオンライン調査に回答
調査時期は4月19-22日

対象者は、性別や年齢などの人口統計学的情報、身長、体重、心理的幸福度に加え、体重管理行動(健康的な食生活、ドカ食い、運動、睡眠、アルコール消費量)がCOVID-19流行前に比べてどの程度変化したのか回答

結果
・体重管理行動の各項目は多くの人で増減したが、79%の人で最低1個は低下した
・精神疾患あるいは肥満の人は、体重管理行動が低下傾向
・高レベルのストレスを感じた人は、体重管理行動が低下傾向

解説

この論文では、アンケート回答者の全体の傾向として、多くの人で少なくとも1つは体重管理行動の低下が認められたことを報告しています。
一方で、一つひとつの項目をみてみると、COVID-19流行前に比べて良い健康習慣が増えたものもあります。
例えば、運動については、流行前より増えた人が47%、減った人が35%、変化なしが18%でした。

そして次にCOVID-19流行中に体重管理行動(睡眠・健康的な食生活・運動の減少、ドカ食い・アルコール消費量の増加)の低下数が多い人は、精神疾患者、肥満者、あるいは高レベルのストレスを感じている人に多いことを報告しました。

報道にあるように、肥満者では重症化のリスクが高まります。

この論文を踏まえると、肥満者はCOVID-19流行下で健康を損ないやすい可能性があるため、ヘルスケアの専門家は特に彼らの健康状態に特に気を付ける必要があるといえます。

まとめ

COVID-19の流行は体重管理に関係するライフスタイルに影響を与える