エンデュランススポーツ愛好家は、プロテイン摂取によってトレーニング効果を高められる

2021年3月1日

はじめに

プロテイン(タンパク質)と言えば、レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)を行うトレーニーが飲んでいる印象が強いと思います。
しかし最近の研究では、日頃から有酸素性トレーニングに取り組む持久性アスリートがプロテインを摂取することで、パフォーマンスやトレーニング後の回復に好影響をもたらすことが報告されています。

今回は、若年男性を対象として持久性トレーニング期間中のプロテイン摂取効果を検証した論文を紹介します。

論文概要

出典
Knuiman, P., van Loon, L., Wouters, J., Hopman, M., & Mensink, M. (2019). Protein supplementation elicits greater gains in maximal oxygen uptake capacity and stimulates lean mass accretion during prolonged endurance training: a double-blind randomized controlled trial. The American journal of clinical nutrition, 110(2), 508–518. https://doi.org/10.1093/ajcn/nqz093

方法
二重盲検無作為化対照試験
健康的な若年男性(週1-4時間のスポーツ活動実施)44名(最終的な分析対象者数は40名)を下記の2群にランダムに割り当て
・プロテインサプリメント群(PRO:19名)
・糖質サプリメント群(CON:21名)

対象者は、トレーニング後(週3回)、就寝前(週7回)に29gのカゼインプロテイン(PRO)あるいは同エネルギーの糖質(CON)が含まれた250mlの飲料を摂取
さらに、両群ともにトレーニング後にジンジャーブレッド(洋菓子、エネルギー:280kcal、糖質:63.2g、脂質1.4g、タンパク質:2.4g)を摂取

トレーニングは下記の内容
期間:10週間
頻度:3回/週(合計28セッション)
運動様式:インドアバイク(自転車運動)
運動強度(心拍数):予備心拍数×0.85+安静時心拍数

トレーニングの開始前、中間(6週目)、終了後(12週目)に下記項目を測定
・最大酸素摂取量(全身持久力)
・持久性パフォーマンス(10kmタイムトライアル)
・血液サンプル(赤血球、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値)
・筋バイオプシー(筋の酸化酵素)
・身体組成(二重エネルギーX線吸収測定法)
・食事調査(エネルギー摂取量、タンパク質:脂質:糖質の摂取量)

結果
代表的なものを抜粋
・最大酸素摂取量の増加は、PROで著しかった
→PRO:49.9 ml/kg/min(開始前)→54.9 ml/kg/min(中間)→55.4ml/kg/min(終了後)
→CON:50.8 ml/kg/min(開始前)→53.0 ml/kg/min(中間)→53.9 ml/kg/min(終了後)

・体重は、PROの中間で増加したものの、それ以外では開始前と差がなかった
→PRO:76.3kg(開始前)→77.2kg(中間)→76.5kg(終了後)
→CON:77.2kg(開始前)→77.2kg(中間)→77.4kg(終了後)

・除脂肪体重の変化は交互作用があり、PROの中間・終了後で増加した
→PRO:+1.5kg(中間、開始前との比較)→+1.5kg(終了後、開始前と比較)
→CON:+0.1kg(中間、開始前との比較)→+0.4kg(終了後、開始前と比較)

・脂肪量の変化は交互作用があり、PROの終了後で減少した
→PRO:-0.6kg(中間、開始前と比較)→-1.2kg(終了後、開始前と比較)
→CON:-0.1kg(中間、開始前と比較)→0.2kg(終了後、開始前と比較)

・エネルギー摂取量は群・時間で差がなかった

・CONのトレーニング日の糖質摂取量はトレーニング期間中に増加

・PROのトレーニング日・非トレーニング日のたんぱく質摂取量はトレーニング期間中に増加
(開始前:1.3g/kg→中間:1.8g/kg→終了後:1.8g/kg)

解説

プロテインサプリメントの摂取がトレーニングによる身体組成や運動パフォーマンスの改善に追加的な効果をもたらすのかを検証した論文の多くは、レジスタンストレーニングを対象としており、持久性トレーニングを対象としたものはさほど多くありません。
この論文は、ダブルブラインド法という厳格な方法で行われた上、トレーニング期間も比較的長く、食事調査や筋バイオプシー法など様々な指標を測定しているため、価値の高い研究です。

得られた結果は、プロテインサプリメントの摂取は、全身持久力の指標である最大酸素摂取量の向上や身体組成の改善(除脂肪体重の増加・体脂肪量の減少)に効果的であることを示しています。
また、論文の著者らは一般的に除脂肪体重と最大酸素摂取量との間には相関があることを踏まえ、この実験においても、PROにおいて除脂肪体重が増加したことが最大酸素摂取量の向上に寄与したと考察しています。

一方、上記の結果では省略していますが、筋バイオプシー法で評価された筋肉の酸化酵素の活性度は、群間差あるいはトレーニング効果がありませんでした。

プロテインの摂取効果は、量(体重1kg当たりの摂取量)の他、摂取タイミング(トレーニングの前・後・就寝前など)、タンパク質の種類(ホエイ・カゼイン・ソイ・エッグなど)にも左右される上、利用可能な糖質量も関係します。
この論文では、PROもトレーニング後に洋菓子から糖質を摂取しており、タンパク質と糖質の同時摂取によって効果が得られた可能性も考えられます(トレーニング後に糖質を摂取しなかった場合、同じような効果が得られてたかは不明)。

まとめ

エンデュランススポーツ愛好家は、練習後や就寝前にプロテインを摂取することで全身持久力や身体組成を効果的に改善できる

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