自体重のシンプルなトレーニングでも継続すれば全身持久力は向上する

2021年3月7日

はじめに

心臓血管系のフィットネス(全身持久力)は、死亡率や多くの疾患の有病率と関係します。

かつては、全身持久力を高めるトレーニングは低-中強度の持続運動が主流でした。
しかし、運動習慣が確立できない主な原因として時間の欠如が指摘される昨今、短時間でできる高強度インターバルトレーニング(High Intensity Interval Training: HIIT)への関心が高まっています

Five Basic Exercises(5BX)とは、約半世紀前にカナダ空軍で開発されたトレーニングプログラムです。
オリジナルの5BXは、自体重で構成される合計11分のトレーニングです。

今回紹介する論文では、修正を加えた5BXトレーニングが非活動的な成人の全身持久力に与える影響を検証しています。

論文概要

出典
Archila, L. R., Bostad, W., Joyner, M. J., & Gibala, M. J. (2021). Simple Bodyweight Training Improves Cardiorespiratory Fitness With Minimal Time Commitment: A Contemporary Application of the 5BX Approach. International Journal of Exercise Science, 14(3), 93-100.

方法
22名の非活動的な成人(中―高強度の身体活動時間:150分未満/週)を対象
最終的な実験完遂者は19名

対象者はランダムに下記の2群に割り当て
・トレーニング群(男性5名、女性4名)
・コントロール群(男性1名、女性9名)

トレーニング群は6週間で合計18回の修正版5BXを実施

修正版5BXの内容は下記のとおり
W-up(0-1分):ジャンピングジャック
高強度運動(1-2分):修正版バーピー(プッシュアップなし)
回復(2-3分):その場でのウォーキング
高強度運動(3-4分):その場でのハイニーランニング
回復(4-5分):その場でのウォーキング
高強度運動(5-6分):スプリットスクワットジャンプ
回復(6-7分):その場でのウォーキング
高強度運動(7-8分):その場でのハイニーランニング
回復(8-9分):その場でのウォーキング
高強度運動(9-10分):スクワットジャンプ
C-down:その場でのウォーキング

自転車エルゴメーターを用いて最高酸素摂取量をトレーニング期間の前後で測定

トレーニングセッションの初回と最終回で身体活動の楽しみ尺度を測定

結果
・修正版5BXトレーニングの平均心拍数は最高心拍数の82%

・トレーニング期間後の最高酸素摂取量は群間差が認められ、トレーニング群がコントロール群よりも高かった(34.2 ml/kg/min vs. 30.3 ml/kg/min)

・身体活動の楽しみ尺度のスコアは、最終回でやや増加していたが、統計学的に有意ではなかった

解説

非常にシンプルですが、示唆に富む論文です。
この論文は、たった11分間のシンプルなトレーニングを週3回、6週間実施することで全身持久力が向上することを示しています。
方法で示したとおり、修正版5BXの内容は非常にシンプルですが、楽しみ尺度はやや増加傾向であったことから、対象者は6週間をとおして前向きにトレーニングをしていたと推察できます。

ただし、全身持久力のトレーニング効果は対象者の初期のフィットネス(体力)に一部依存します。
この論文の対象者は非活動的な成人で、トレーニング前の最高酸素摂取量の数値からみても体力が低い集団でした。
したがって、もともと活動的な成人の場合、同じように全身持久力が高まるかは分かりません。

また、この論文では大学のコミュニティを通して対象者が集められ、彼らの年齢は平均20歳、BMIが平均20でした。
修正版5BXは関節への負担が高い種目も含まれていることを踏まえると、中高齢者や肥満者がいきなり実施することはリスクがあります。

まとめ

非活動的な成人がたった11分間の運動(修正版5BX)を週3回、6週間実施すれば全身持久力は向上する

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