睡眠不足や不活動な人は、COVID-19に苦しむ可能性が高まるかもしれない

2022年3月10日

はじめに

十分な睡眠と適度な身体活動は、免疫システムにポジティブな影響を与えるため、健康的に過ごすための重要なファクターです。

世界中で猛威を振るうCOVID-19についても、そのような生活習慣と関係があるのか、知りたいところです。

今回紹介する論文は、中国人のCOVID-19の感染者と非感染者を対象として、睡眠や身体活動を評価しています。

論文概要

出典

Belgen Kaygısız, B., Güçhan Topcu, Z., Meriç, A., Gözgen, H., & Çoban, F. (2020). Determination of exercise habits, physical activity level and anxiety level of postmenopausal women during COVID-19 pandemic. Health care for women international, 41(11-12), 1240–1254. https://doi.org/10.1080/07399332.2020.1842878

方法
調査は、複数の医療施設で行われた
COVID-19に感染した18歳以上の成人203名と非感染者の成人228名を対象とした
対象者のうち、感染者の80.7%(164名)と非感染者82.5%(188名)が医師の電話調査で生活習慣に関するアンケートに回答した
164名の感染者のうち14.0%(23人)は無症候性であった

結果
【感染者と非感染者の比較】
・喫煙歴、基礎疾患の存在、運動習慣(1回当たり30分以上、週3回)の欠如、座りがちな生活(1日9時間以上)、激しい運動は感染と関連している可能性
・中強度の身体活動は、高強度の身体活動よりもCOVID-19感染に対して予防効果を持つ可能性

【感染者を対象とした重症度の比較】
・睡眠状態が悪いことや短い睡眠時間は、重症化するリスクが高かった

解説

因果関係を示す研究ではないこと、対象地域や対象者数に限りがあることから結果の解釈には注意を要します。

しかし、コロナ渦で健康的なライフスタイルの促進を訴求するためには十分な論文だと思います。

興味深い結果は、感染者と非感染者を比較した結果において、運動強度によって違いが認められたことです。
昔から「高強度の運動は免疫機能を低下させる」と言われており、この論文の結果もそれを支持しています。

普段何となく使う「免疫力」という言葉を正しく言語化するのは難しいですが、とにもかくにも十分な睡眠と適度な運動習慣を確保し、感染症予防に励みたいところです。

まとめ

十分な睡眠と適度な身体活動はCOVID-19の感染予防に大事