Line、Facebook、Twitter、Instagramの頻繫な使用とメンタルヘルスとの関係

2021年8月16日

はじめに

社会的つながりとは親しい人との支援のやり取りや交流、地域への参加や就労のことをいいます。
社会的つながりは人間生活の基本的要素であることはもちろん、健康とも重要な関わりがあります。

あるメタ分析によると、社会的つながりは喫煙、飲酒習慣、運動習慣、肥満度といった一般的に健康に深く関係すると認識されている要因以上に死亡率に影響を与えている可能性も示されています
(引用:Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., & Layton, J. B. (2010). Social relationships and mortality risk: a meta-analytic review. PLoS medicine, 7(7), e1000316. https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1000316

近年、スマートフォンやタブレット端末が普及し、Line、Facebook、Twitter、InstagramといったSNSを用いた交流が盛んになるなど、社会的つながりのあり方も多様化しています。

今回は日本人を対象に種類別にSNSの使用頻度とメンタルヘルスとの関係を年代別に検証した論文を紹介します。

論文概要

出典

Sakurai, R., Nemoto, Y., Mastunaga, H., & Fujiwara, Y. (2021). Who is mentally healthy? Mental health profiles of Japanese social networking service users with a focus on LINE, Facebook, Twitter, and Instagram. PloS one, 16(3), e0246090. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0246090

方法
18歳以上の東京都民を対象とした無作為抽出調査
合計21300人のうち8793人が通信機器の所持率を回答
8576人がSNSの使用頻度とメンタルヘルスに関する調査に回答

調査項目は下記のとおり
通信機器の所有状況:
フリップフォン(いわゆるガラケー)、スマートフォン、タブレット、コンピュータの所持の有無を調査
フリップフォン以外の通信機器はSNS目的の通信機器と定義

SNS使用頻度:
Line、Facebook、Twitter、Instagramの使用頻度を投稿と閲覧にわけて調査
1) 毎日、2) 週に数回、3) 月に数回、4) 使用しないに分類
週に数回以上の場合を頻繁な利用と定義

・伝統的なコミュニケーション頻度:
SNS以外の対面・非対面(電話、電子メール、手紙など)のコミュニケーション頻度について調査
1) 毎日、2) 週に4~5回、3) 週に2~3回、4) 週に1回、5) 月に2~3回、6) 月に1回、7) 月に1回未満、8) なし、に分類
週に1回未満の場合、伝統的なコミュニケーション不足と定義

主観的な幸福度:WHO-5によって調査

悩み・抑うつ傾向:K6によって調査

孤立感:
「コミュニティから孤立していると感じる頻度」を調査
1) 非常に頻繁に、2) 頻繁に、3) あまり頻繁ではない、4) 決してない、に分類
前二つを孤独と定義

分析は若年者(18-30歳)、中年者(40-64歳)、高齢者(65歳以上)ごとに実施
性別、年齢、教育レベル、一人暮らしか否か、慢性疾患の有無、主観的な健康度、主観的な経済状況、外出頻度、伝統的コミュニケーションの頻度を共変量としてSNSの使用頻度とメンタルヘルスとの関係を分析

結果
・SNSの使用頻度とメンタルヘルスに関する調査の分析対象者8576人のうち2543人が若年者、3048人が中年者、2985人が高齢者

・SNS目的の通信機器の所持率は若年者と中年者で95%以上、高齢者で62.3%

・SNSの使用頻度と主観的な幸福度との関係
→若年者ではInstagramの頻繁な閲覧、中年者ではFacebookの頻繫な発信、高齢者ではLineの頻繫な発信・頻繫な閲覧をする人で主観的な幸福度が高い傾向があった

・SNSの使用頻度と悩み・抑うつ傾向との関係
→若年者ではInstagramの頻繫な閲覧、中年者ではLineの頻繫な発信をする人で悩み・抑うつ傾向のスコアが低い傾向があった
→すべての年代でTwitterの頻繁な閲覧・投稿をする人で悩み・抑うつ傾向のスコアが高い傾向があった

・SNSの使用頻度と孤立感との関係
→中年者ではTwitterの頻繁な閲覧・頻繫な投稿、高齢者ではTwitterの頻繁な発信をする人で孤立感を有している割合が高くなる傾向があった

・伝統的なコミュニケーションの頻度
→全年代において伝統的なコミュニケーション不足の人は、主観的な幸福度が低く、悩み・抑うつ傾向のスコアが高く、高い孤立感を有している傾向があった(ただし、若年者のみ孤立感とは関係なし)

解説

この論文が示すとおり、現代社会では年代を問わず多くの人がSNSを使える電子機器を持っています。
近年ではSNSが健康に及ぼす影響について様々な観点から検証が進んでいます。
この論文は、東京都民1万人弱を対象として、SNSの使用頻度とメンタルヘルスとの関係を年代別に検証した結果、中年者と高齢者ではLineを頻繫に利用する人はメンタルヘルスとの間にポジティブな関係が確認されました。
また、若年者ではInstagramを頻繫に利用する人はメンタルヘルスとの間にポジティブな関係が確認されました。

一方、年代を問わずTwitterの頻繁な使用はメンタルヘルスとの間にネガティブな関係が確認されました。
この原因について論文の著者らはTwitterの高い匿名性が影響していた可能性を指摘しています。
実際、かねてよりTwitterの高い匿名性はネットいじめや冷やかし、不当な批判を助長しやすいと指摘されています。

この論文は横断調査のため、因果関係を主張するには限界があります。
また種類を問わずSNSの長時間使用はメンタルヘルスにネガティブな影響を与える可能性がありますが、この論文は日々の使用時間については調査していません。
そのため結果の解釈には注意を要します。

現代社会ではSNSを全く使用しない人は少数ですが、健康的に生きるためにSNSとは適切な距離を保っていきたいところです。

まとめ

Twitterの頻繫な使用はメンタルヘルスにネガティブな影響を与えるかもしれない