【温故知新シリーズ3】夕食に糖質を摂るとダイエット効果が高まるという衝撃的な事実

はじめに

10年以上前に発表された論文のうち、学術界や各種メディアでの引用数が多い論文を紹介する温故知新シリーズ。
第三回目の今回は、夕食に多くの糖質を摂った場合、ダイエット効果に影響を及ぼすのかを明らかにした論文を扱います。

一般的に「夕食に糖質を摂りすぎると消費されずに脂肪に変わりやすい」という俗説があります。
しかし、夕食の糖質摂取量が多い人は1日を通した摂取カロリーが多い傾向があり、太る本当の原因は1日を通したエネルギーバランスの不均衡(摂取カロリー>消費カロリー)であると考えられています。

そこで今回は、肥満者を対象とした6カ月間のカロリー制限において、1日を通した摂取カロリーを揃えた上で夕食の糖質摂取量を変えた場合、ダイエット効果に影響を及ぼすのかを検証した論文を紹介します。

この論文の発刊年は2011年であり、Web上での論文の影響度を示すAlmetric Attention Scoreは482を記録しており、非常にインパクトの大きい論文です(2021年7月20日時点)。

論文概要

出典

Sofer, S., Eliraz, A., Kaplan, S., Voet, H., Fink, G., Kima, T., & Madar, Z. (2011). Greater weight loss and hormonal changes after 6 months diet with carbohydrates eaten mostly at dinner. Obesity (Silver Spring, Md.), 19(10), 2006–2014. https://doi.org/10.1038/oby.2011.48

方法
25-55歳のBMIが30以上の警察官(男女)を対象
対象者はランダムに実験群とコントロール群に分類
実験開始当初の人数は100名、ランダム化の時点で78名、最終的な実験完遂者は実験群が30名、コントロール群が33名(ドロップアウト率に有意差なし)
ただし、血液サンプルのデータは合計39名

介入期間は6カ月
介入期間中の摂取カロリーは両群ともに1300-1500kcal/日(タンパク質:20%、脂質:30-35%、糖質:45-50%)に設定
両群ともに朝昼夕の三食に加えて、1-2食の間食を摂取
1日の糖質摂取量を揃えた上で、実験群は多くを夕食に配分、コントロール群は朝食から夕食まで1日を通して摂取

介入期間の前、中、後に下記項目を測定
・形態
→体重、ウエスト周径囲、体脂肪率

・血液サンプル
→8時(空腹時絶食状態)、12時、16時、20時に実施。インスリン、血糖値、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、トリグリセリド、CRP、インスリン抵抗性(HOMA-IR)、TNFα、IL-6、レプチン、アディポネクチンを測定

・飢餓-満腹感
→8時(空腹時絶食状態)、12時、16時、20時に実施。10ポイントの尺度を用いて測定

結果
※介入期間前後の代表的なデータを抜粋

・体重の減少量は実験群で顕著(実験群:-11.6kg、コントロール群:-9.06kg)
・ウエスト周径囲の減少量は実験群で顕著な傾向、ただし群間の有意差なし(実験群:-11.7cm、コントロール群:-9.39cm)
・体脂肪率の減少量は群間の有意差なし(実験群:-6.98%、コントロール群:-5.13%)

・満腹感は実験群で13.7%増加、コントロール群では5.9%減少

・空腹時血糖値、1日の平均インスリン濃度、インスリン抵抗性、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、CRP、TNF-α、IL-6は実験群で顕著に改善

・アディポネクチンは実験群のみ有意な増加

解説

この論文は1日を通した摂取カロリーが同じ場合、糖質は1日をとおして満遍なく摂るよりも夕食に大部分を配分した方が体重減少が顕著だったことを示しています。
また、群間の有意差はなかったものの、ウエスト周径囲や体脂肪率の減少も実験群の方が著しい傾向にありました。
これらの結果は、「夕食に糖質を摂りすぎると脂肪に変わりやすい」という俗説を否定する結果です。

この論文では、アディポネクチンは実験群のみ増加していました。
アディポネクチンは脂質代謝に関与している上、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
またアディポネクチンはインスリンの働きを高めます。
インスリンの働きが悪いと、血糖コントロールに悪影響を及ぼす他、Ⅱ型糖尿病を引き起こすことが知られています。

メタボリックシンドロームや炎症に関係する指標についても夕食に多くの糖質を摂った方が望ましい効果がありました。
近年、食べる時間を制限する断続的断食(Intermittent fasting)が体内の炎症マーカーを下げることが示唆されていますが、糖質の摂取についても似た効果があるのかもしれません。

いずれにせよ、1日を通した摂取カロリーが均等の場合、糖質を夜に摂っても太ることはなさそうです。

まとめ

1日をとおした総摂取カロリー・糖質摂取量が同じ場合、夕食に糖質を摂っても太らない