COVID-19によるステイホームは成人を太らせた模様

はじめに

以前、中国で行われた調査をもとに、新型コロナウイルスの感染拡大によるロックダウン後には学生(高校生・大学生・大学院生)の体重が増加していることを報告した論文を紹介しました。

今回は、欧米を中心に行われた大規模調査をもとに、新型コロナウイルスの感染拡大によって成人の体重や生活習慣がどのように変化したのかを検証した論文を紹介します。

論文概要

出典
Almandoz, J. P., Xie, L., Schellinger, J. N., Mathew, M. S., Gazda, C., Ofori, A., Kukreja, S., & Messiah, S. E. (2020). Impact of COVID-19 stay-at-home orders on weight-related behaviours among patients with obesity. Clinical obesity, 10(5), e12386. https://doi.org/10.1111/cob.12386

方法
調査は成人(18歳以上)を対象にオンラインで実施
調査期間は2020年4月3日―5月3日

同意の得られた12476人のうち、アンケート回答者7753人を分析対象
対象者の居住地はアメリカ(4890人)、イギリス(1839人)、オーストラリア(497人)、カナダ(154人)が主であった

アンケート項目は下記のとおり
人口統計学的情報
世帯情報
座りがちな活動状況
身体活動状況
食習慣(Rapid Eating Assessment for Participants short version: REAP-s)
睡眠
メンタルヘルス(Generalized Anxiety Disorder 7-item: GAD-7)ついて

対象者はCOVID-19の感染拡大前と感染拡大中の状況について各項目を回答

結果
・回答者のうち80%が女性
・回答者の年齢は51.2歳(平均値)、BMIは28.6kg/m2(平均値)
・BMIからみて回答者の32.2%が通常体重、32.1%が過体重、34.0%が肥満

・食習慣に関するスコアが感染拡大中に改善(外食回数の減少、自宅での料理回数の増加、朝食欠損頻度の減少など)

・余暇時間での座りがちな活動時間は平日・休日ともに感染拡大中に増加

・身体活動レベル・身体活動量は感染拡大中に減少

・就寝時間・起床時間は感染拡大中に遅くなった

・43.8%が感染拡大中に睡眠の質が悪化したと回答。一方、改善した人は10.2%

・メンタルヘルスは感染拡大中に悪化

・回答者のうち、27.3%が感染拡大中に体重増加を報告
・肥満者で特に体重が増加していた(体重増加者のパーセンテージ:肥満者33.4%、過体重20.5%、通常体重24.7%)
・体重増加者は、感染拡大中の食習慣はあまり変わらなかったが身体活動量が最も減少していた

・回答者のうち、17.3%が感染拡大中に体重減少を報告
・体重減少者のパーセンテージはBMI別で差がなかった
・体重減少者は、感染拡大中に食習慣のスコアが改善したとともに身体活動量は増加し、座りがちな時間はあまり増加していなかった

解説

分析対象者が7753人という大規模調査の論文です。

この論文は、新型コロナウイルス感染拡大は、人々の健康や生活習慣に大きな影響を与えたことを報告しています。
中でも、体重増加を報告した人は新型コロナウイルスの感染拡大前から肥満だった者に多く、彼らは感染拡大中の食習慣は悪くなっていませんでしたが、身体活動量が減少していました。
また、体重増加者のメンタルヘルス悪化の程度は、体重維持者に比べて顕著(GAD-7の変化:体重増加者+12.37、体重維持者+6.52)でした。

この論文のデータは、いくら健康的な食生活を心掛けたとしても、エネルギーを消費する身体活動量が減少したら、体重は増加することを意味しています

新型コロナウイルスの影響はしばらく続くことが想定されているため、健康的な心身を維持するためにも、身体活動量の確保は最優先課題と言えます。

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大は、食習慣には負の影響を与えていないが、身体活動量を減少させた