週2回vs週4回、トレーニング頻度が最大筋力に与える影響

はじめに

一般に、レジスタンストレーニングによる筋肉の適応を左右する変数としては、ボリューム(総量)が最重要だと言われています
ここでのボリュームとは一定期間、たとえば週当たりの「重量×反復回数×セット数」で表す総量のことです。
なお、ボリュームの計算はトレーニング全体ですることもありますが、今回は脚、胸など部位別でのボリュームの話です。

このボリュームが均等であれば、たとえ頻度が異なっても、筋肉の適応は同程度だと言われています。

一方で、ボリュームを揃えた上で頻度の効果を検証した論文の多くが週3回未満での検証に留まっており、より高頻度にトレーニングをした際の影響については明確ではありません。

また、ボリュームを揃えた上で頻度を高めることは、1回のセッションでのセット数を減らすことになるため、蓄積疲労やオーバートレーニングなどの弊害を避けられる可能性もあります。

今回はボリュームを揃えた上で各筋群のトレーニング頻度を週2回と週4回とした際の最大筋力への影響を検証した論文を紹介します。

論文概要

出典
Johnsen, E., & van den Tillaar, R. (2021). Effects of training frequency on muscular strength for trained men under volume matched conditions. PeerJ, 9, e10781.

方法
レジスタンストレーニング経験1年以上の男性トレーニー21名を対象
対象者はランダムに下記の2群に割り当て
SPLIT群:バックスクワットと下肢のトレーニングを週2回、ベンチプレスと上肢のトレーニングを週2回
FULLBODY群:バックスクワットとベンチプレスを含む下肢・上肢のトレーニングを週4回

トレーニング内容の詳細は下記のとおり
トレーニング期間:8週間

セット数:各セッションでバックスクワット、ベンチプレスをSPLIT群は5-6セット、FULLBODY群は2-3セット実施。すなわち週当たりのベンチプレス、スクワットのセット数は常に各11セット。その他の種目は両群ともに3セットずつ実施

強度(%1RM)・反復回数:両群ともに徐々に強度漸増・反復回数漸減。バックスクワットは1週目が70-75%(5-7回)、8週目が77.5-90%(2-5回)、ベンチプレスは1週目が65-70%1RM(7-10回)、8週目が80-90%1RM(2-4回)。その他の種目は8-12回の範囲で2回の余裕を持って各セットを終了

両群のボリューム(反復回数×セット数×強度)は同等

トレーニング期間の前後にバックスクワットとベンチプレスの1RM挙上重量を測定

毎回のトレーニングにおいて、バックスクワット、ベンチプレスの終了後ならびにセッション終了後に主観的運動強度(RPE)を記録

結果
・バックスクワット(SPLIT:+13.25kg、FULLBODY:+14.31kg)・ベンチプレス(SPLIRT:+7.75kg、FULLBODY:+8.86kg)は両群増加(群間差なし)

・バックスクワット終了後のRPEは全体的にSPLIT群の方が高い傾向

解説

この論文は、筋トレ経験を有する男性トレーニーを対象とした場合、分割法(SPLIT群)・全身法(FULLBODY群)のいずれの形式でも、ボリュームが均等であれば、最大筋力は同じぐらい発達することを示しています。

非常にシンプルですが、トレーニーには参考になるデータだと思います。
なお、この論文では筋厚や体脂肪に関する指標を評価していないため、ボディーメーキングへの影響は不明です。

SPLIT群のバックスクワット終了後のきつさ(RPE)が高いことは、スクワットを日頃から実施しているトレーニーには理解できる現象だと思います。
スクワット独特のきつさに負けずに挑む姿勢は、トレーニーのメンタルを強化してくれますが、少なくとも最大筋力については両群で差がないため、1日に高セットをこなすことに精神的負担を感じる方は、週当たりの頻度を増やすことで、毎回のセッションの負担を軽減できると考えられます。

近年ではレジスタンストレーニングに関するエビデンスが蓄積され、系統的レビュー・メタ分析をもとに、あたかも決定的な結論が出たみたいな捉え方がされることがあります。
(例えば、「トレーニング頻度は筋肉の適応に関係しない」という見解)

ただし、系統的レビュー・メタ分析での見解は各論文のデータをまとめた一つの見解にしか過ぎません。
したがって、全ての事象に当てはまると鵜呑みにすることは危険です。
また、レジスタンストレーニングの効果に左右する変数は様々なものがあるため、未だに一つひとつの変数を微妙に変えたシンプルな論文が世に出て続けています。
したがって、当サイトでも最新の論文を随時紹介・解説していきたいと思います。

まとめ

男性トレーニーがスクワット・ベンチプレスの最大筋力を伸ばしたい場合、トレーニング頻度はあまり影響しない