中年女性の減量プログラムは運動と食事制限を組み合わせた方が良い

2021年9月24日

はじめに

肥満者の減量を目的とした場合、そのアプローチは食事制限、運動、薬物療法やそれらの組み合わせなど様々です。

食事制限のみで減量する場合、一過性に体重は落ちたとしても体脂肪とともに筋肉量も減少するため、リバウンドや生活の質の低下といったネガティブな影響が起きやすいと言われています。

今回は、2020年に発表された40-60歳の女性を対象とした減量プログラムの効果を検証した論文を紹介します。

論文概要

出典

Joseph, G., Arviv-Eliashiv, R., & Tesler, R. (2020). A comparison of diet versus diet + exercise programs for health improvement in middle-aged overweight women. Women’s health (London, England), 16, 1745506520932372. https://doi.org/10.1177/1745506520932372

方法
過体重(BMI24以上)の女性を対象とした
対象者は4つのプログラムのいずれかに参加した

各プログラムは8週間行われた

プログラム開始時点の対象者は145名であったが、プログラム終了後の測定まで追跡できた者は96名であった

4つのプログラムの詳細は下記の通り
・運動+食事群:週3回の運動セッションへの参加(有酸素性トレーニング、筋力トレーニング、ストレッチトレーニングを各1回)、食事制限(1000-1500kcal/日)、必要に応じた食事や運動に関するコンサルタント
・食事制限群:食事制限(1000-1500kcal/日)、必要に応じた食事に関するコンサルタント
・運動群:週3回の運動セッションへの参加(有酸素性トレーニング、筋力トレーニング、ストレッチトレーニングを各1回)、必要に応じた運動に関するコンサルタント
・対照群:特別な介入なし

8週間のプログラム前後に身体組成や体力測定、血液検査、心理指標を評価した
プログラム終了から6ヶ月後に体重変動や運動習慣などを電話で聞いた

結果
コントロール群と比較した場合、様々な測定項目で運動+食事制限群・食事制限群で改善が認められた
全体的に運動+食事制限群で最も効果があった

下記はプログラム前後の一部結果を抜粋
・除脂肪体重は運動+食事制限群では維持されていたが、食事制限群では減少した
 →食事制限群の体重減少は、脂肪量と除脂肪体重(筋肉量)によるもの
・心理指標において、運動+食事制限群ではウェルビーイング・自己効力感・身体イメージ・自己イメージで改善が認められたが、食事制限群では身体イメージと自己イメージのみ改善した

6ヶ月後、食事制限を続けられた人は運動+食事制限群、食事制限群ともに約3-4割程度であった
運動+食事制限群・食事制限群ともに約半数の人が6ヶ月後に体重が増加した

解説

この論文では、運動群の対象者数が少なくなってしまったため、運動群で統計学的に効果が認められなくなっていました(詳細な理由は不明ですが、インストラクターの問題によるものと書かれていました)。
したがって、運動のみでは効果がないと解釈してしまうのは危険です。

このプログラムでは、参加者は終了前に専門家から食事制限と運動を継続する方法についてアドバイスを受けていました。
それにもかかわらず、約半数の人は半年後には体重が増えてしまっていました。
この事実は、長期的に減量を続けることや一度痩せた体重を維持するのは容易ではなく、専門家が直々にコミュニケーションをとり、相談やサポートすることの重要性を示唆しています。

まとめ

中年女性の減量プログラムは、食事制限と運動を組み合わせることで効果が期待できる