MMAファイター達は誰から減量法を学び、どうやって減量しているのか?

はじめに

階級制を採用している総合格闘技(Mixed Martial Arts: MMA)のファイターは、試合前に減量をする選手がほとんどです。

多くのケースでは、大会の数週間前から数日前までに体重をある程度落とした上で、計量直前に水抜きと呼ばれる急速減量(Rapid Weight Loss: RWL)によって、体重を計量リミットまで落とします。

水抜きによって落とした体重は、試合前までに大幅に戻す(増やす)ことが可能となります。
例えば、今年(2022年)4月に開催されたベラトール279のバンタム級ワールドグランプリ1回戦で堀口恭司選手に勝利したパッチー・ミックス選手は、試合当日の体重が70kgを超えていたと、後のインタビューで明かしています。
バンタム級のリミットが61.2kgであることを踏まえると、この増加量は驚異的です。

では、MMAファイター達は具体的にどういった減量法を行っているのでしょうか?
また、どういった情報源をもとに減量法を決めているのでしょうか?

今回紹介する論文では、プロMMAファイター達を対象にアンケート調査を行っています。

論文概要

出典

Park, S., Alencar, M., Sassone, J., Madrigal, L., & Ede, A. (2019). Self-reported methods of weight cutting in professional mixed-martial artists: how much are they losing and who is advising them?. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 16(1), 52. https://doi.org/10.1186/s12970-019-0320-9

方法
プロMMAファイター92名を対象(アトム級からヘビー級)
対象者は主にアメリカのカリフォルニア州・ニューメキシコ州で募集

アンケート調査項目は下記のとおり
通常体重、現体重、出場階級、減量幅、減量期間、減量法、栄養や減量に関する情報源(管理栄養士、ソーシャルメディア、医師、チームメイト、専門の組織)など

結果
減量期間は平均4.66週
多くのMMAファイターは4-6週間にわたり減量実施
減量幅はおおよそ5-11.8kg

減量法は平均4.27種類
食事制限(82.6%)、ウォーターローディング(72.8%)、トレーニングやエネルギー消費量の増加(69.6%)、サウナ利用(69.6%)、汗かき用の衣服(59.8%)が多い
減量期間の長いファイター(5-8週間)は短いファイター(1-4週間)に比べると、トレーニングやエネルギー消費量の増加の手段を採用している者が多い

情報源は、チームメイトが最も多く(83.7%)、次いでソーシャルメディア(30.4%)、管理栄養士から情報を得ていた者は20.6%
ソーシャルメディアから情報を得ていた者はそうでない者に比べると多くの減量法を利用
管理栄養士から情報を得ていた者は他の情報源から得ていた者に比べると少ない減量法を利用
チームメイトから情報を得て管理栄養士から情報を得ていなかった者は管理栄養士から情報を得ていた者に比べると多くの減量法を利用

解説

100名近いプロMMAファイターを対象とした試合前の減量法やその情報源に関する調査結果です。

MMAファイター達は複数の減量法(平均4.27種類)を採用し、中でも食事制限やウォーターローディング、トレーニングやエネルギー消費量の増加、サウナ利用、汗かき用の衣服(サウナスーツ)を用いている選手が多かったです。
また、ほとんどのMMAファイターはチームメイトから栄養や減量に関する情報を得ており、管理栄養士から情報を得ていた者はわずか5分の1でした。

情報源については、身近に管理栄養士がいないといった事情もありそうです。
また、インターネットが普及した今日では、信頼性はさておき、検索をすると減量法に関する情報も簡単にアクセスできるため、ソーシャルメディアから情報を得ている者も多い模様です。

この論文は減量の成功率や試合結果、血液プロフィールなどを評価していないため、どういった情報源を用いているMMAファイター達が競技面、健康面で優れているのかを判断することが出来ません。
個人的には管理栄養士の中でも持っている知識やノウハウは千差万別のため、一概に管理栄養士から情報を得ているMMAファイター達が優れているとは限らないと考えます。

まとめ

MMAファイターの多くはチームメイトから栄養や減量に関する情報を得ている