有酸素と筋トレはどっちもやった方が良い

はじめに

身体活動は大別すると、有酸素性活動(Aerobic Physical Activity)と筋力活動(Muscle-Strengthening Activity: MSA)に分けることができます。
また、有酸素性活動は軽度(Light Physical activity)、中程度(Moderate Physical Activity: MPA)、高強度(Vigorous Physical Activity: VPA)に細分化できます。

ガイドラインや指針によって、具体的な推奨量は若干の違いがあるものの、米国人のための身体活動ガイドライン(2018年)や世界保健機関の身体活動に関するガイドライン(2020年)では、成人の場合、少なくとも150-300分/週のMPA、75-150分/週のVPA、またはMPAとVPAを組み合わせた同等の身体活動に加えて、2日/週以上のMSAが推奨されています。

今回紹介する論文では、MPA、VPA、MSAと全死亡率、心血管死亡率、癌死亡率との関係を詳細に検討しています。

論文概要

出典

López-Bueno, R., Ahmadi, M., Stamatakis, E., Yang, L., & Del Pozo Cruz, B. (2023). Prospective Associations of Different Combinations of Aerobic and Muscle-Strengthening Activity With All-Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality. JAMA internal medicine, 183(9), 982–990. https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2023.3093

方法
アメリカ国民健康調査(NHIS)のデータを利用した前向きコホート研究

余暇時間における身体活動の状況を調査
MPA、VPA、MSAについて下記のカテゴリーに分類
各組み合わせにおける全死亡率、心血管死亡率、癌死亡率をリファレンス群(MPA、VPAを一切行わず、MSAが2回/週未満)と比較
MA: 2回/週未満、2回/週以上
MPA:0分/週、0-75分/週、75-150分/週、150-225分/週、225-300分分/週、300分/週
VPA:0分/週、0-75分/週、75-150分/週、150分/週

共変量
年齢、性別、人種、婚姻状況、学歴、喫煙状況、飲酒状況、慢性疾患、肥満度、機能制限、調査年、MVPA分数

結果
■対象者の特性
500705人、平均46.4歳、女性が58%、追跡期間が10年(中央値)

■全死亡率のハザード比(HR)が最も低い組み合わせ
MPA:0-75分/週
VPA:150分/週以上
MSA:2回/週以上
(HR:0.50)

■心血管死亡率のHRが最も低い組み合わせ
MPA:150-225分/週
VPA:0-75分/週
MSA:2回/週以上
(HR:0.30)

■癌死亡率のHRが最も低い組み合わせ
MPA:300分/週以上
VPA:0-75分/週
MSA:2回/週以上
(HR:0.44)

※リファレンス群に比べると、ほとんどのグループのHRは有意に低かった

解説

この論文は、死亡リスクを減少させるための理想的な身体活動の組み合わせは、死亡理由よって若干異なることを示しています。
また、どの死亡率であっても、HRが最も低かったのは、筋力トレーニングを2回/週以上実施している人たちでした。
したがって、有酸素性活動の実施状況に限らず、筋力トレーニングを行った方が利益を得られると言えます。

どこまでの健康上の利益を狙うのかは人それぞれですが、身体活動は特定の手段に限らず、複数のものをやった方が健康的であると言えそうです。

まとめ

長生きするための身体活動は有酸素も筋トレもやった方が良い