筋トレのダメージはオールアウトの有無でだいぶ違う

はじめに

筋トレの筋肥大、筋力向上効果は、トレーニングの総負荷量と関係します。
仮に実施する種目とセット数が決まっている場合、毎セット、出来なくなるまで(オールアウトに至るまで)、挙上を繰り返すことが総負荷量を高める鍵となります。

一方で、オールアウトは著しい疲労を引き起こすため、翌日以降のダメージが大きくなります。

今回紹介する論文では、総負荷量を揃えた条件で、オールアウトの有無が筋トレのダメージに及ぼす影響を調べています。

論文概要

出典

Morán-Navarro, R., Pérez, C. E., Mora-Rodríguez, R., de la Cruz-Sánchez, E., González-Badillo, J. J., Sánchez-Medina, L., & Pallarés, J. G. (2017). Time course of recovery following resistance training leading or not to failure. European journal of applied physiology, 117(12), 2387–2399. https://doi.org/10.1007/s00421-017-3725-7

方法
10名の男性トレーニーを対象
次の3つの筋トレのセッションを別日に実施
・3セット×5回(10回)・・・10回出来る負荷で5回
・6セット×5回(10回)・・・10回出来る負荷で5回
・3セット×10回(10回)・・・10回出来る負荷で10回
種目はベンチプレス、スクワット

セッションの前(ベースライン)から72時間後にかけてメカニカル指標、生化学指標を計測

■測定・評価指標
低負荷、中負荷、高負荷のメカニクス指標を計測
低負荷:垂直跳びの跳躍高
中負荷:ベースライン時において、秒速1mの平均推進速度の挙上重量を用いたベンチプレス、スクワットの平均推進速度
高負荷:ベンチプレス、スクワットの75%1RMの平均推進速度

生化学指標は血液採取を実施
トータルテストステロン、コルチゾール、成長ホルモン、クレアチンキナーゼ、アンモニアを計測
(ここではクレアチンキナーゼのみ表示)

結果
■メカニクス指標
ベースラインに比べると・・・
・低負荷(垂直跳びの跳躍高)
3セット×5回(10回)群:6時間後には回復
6セット×5回(10回)群:6時間後には回復
3セット×10回(10回)群:48時間後まで低下

・中負荷のベンチプレス
3セット×5回(10回)群:6時間後には回復
6セット×5回(10回)群:6時間後には回復
3セット×10回(10回)群:48時間後まで低下

・中負荷のスクワット
3セット×5回(10回)群:直後でも低下なし
6セット×5回(10回)群:直後でも低下なし
3セット×10回(10回)群:24時間後まで低下

・高負荷のベンチプレス
3セット×5回(10回)群:直後でも低下なし
6セット×5回(10回)群:直後でも低下なし
3セット×10回(10回)群:24時間後まで低下

・高負荷のスクワット
3セット×5回(10回)群:直後でも低下なし
6セット×5回(10回)群:直後でも低下なし
3セット×10回(10回)群:直後のみ低下

■生化学指標
・クレアチンキナーゼ
3セット×5回(10回)群:6時間後まで増加
6セット×5回(10回)群:24時間後まで増加
3セット×10回(10回)群:48時間後まで増加

解説

この論文は、総負荷量が同じでも(6セット×5回(10回)群vs3セット×10回(10回)群)、オールアウトの有無によって、身体が負うダメージが異なることを明らかにしています。

オールアウトまで筋トレを頑張ると、丸一日経っても、身体が回復しません。
このような状態で筋トレを行うと、追加的に、深刻なダメージを負う可能性が高まるでしょう。

また、アスリート目線で考えても、回復に数日かかる筋トレをしても良い時期というのは限られると思います。

そういった意味で、オールアウトまで頑張るというのは、デメリットが大きく、仮に総負荷量を確保したい場合であっても、限界の数レップ前に辞めて、1セット追加する方がベターのように思います。

まとめ

筋トレは最後まで頑張るとダメージを負う