大学生のストレスや不安が睡眠の質に及ぼす影響は心理学的特徴(レジリエンス・ルミネーション)が介在する

はじめに

当サイトではこれまでにCOVID-19が人々のライフスタイルに及ぼす影響について、国内外の論文をもとに解説してきました。

今回は、7つの国に住む大学生を対象とした大規模調査をもとに、ストレス、不安が睡眠に与える影響について心理学的特徴(ルミネーション、レジリエンス)を踏まえた上で検証した論文を紹介します。

なお、ルミネーションとは日本語で反芻思考といい、何度もネガティブな出来事を思い出したり、自分の欠点や問題を繰り返し考えたりする思考のことをいいます。
これに対してレジリエンスとは「回復力」「弾性」を意味し、自分にとって不利な状況、困難な問題、危機的な状況に遭遇した際、しなやかに適応して生き延びる能力のことをいいます。

論文概要

出典

Du, C., Zan, M., Cho, M. J., Fenton, J. I., Hsiao, P. Y., Hsiao, R., Keaver, L., Lai, C. C., Lee, H., Ludy, M. J., Shen, W., Swee, W., Thrivikraman, J., Tseng, K. W., Tseng, W. C., & Tucker, R. M. (2020). Increased Resilience Weakens the Relationship between Perceived Stress and Anxiety on Sleep Quality: A Moderated Mediation Analysis of Higher Education Students from 7 Countries. Clocks & sleep, 2(3), 334–353. https://doi.org/10.3390/clockssleep2030025

方法
中国・アイルランド・マレーシア・台湾・韓国・オランダ・アメリカの7ヶ国に住む大学生・大学院生を対象として、COVID-19パンデミック時の2020年4-5月にオンライン調査を実施

調査項目は下記のとおり
人口統計学的・基本情報:年齢、性別、専門分野、学年、留学生か否か、身長、体重

ストレス:Perceived Stress Scale-10によって評価

不安度:Generalized Anxiety Disorder Screenerによって評価

レジリエンス:Brief Resilience Scaleによって評価

ルミネーション:Repetitive Negative Thinking Questionnaireによって評価

睡眠時間・睡眠の質:Pittsburgh Sleep Quality Indexによって評価

COVID-19がストレス、不安レベル、睡眠の質、睡眠時間に与えた影響も調査

結果
・アンケート回答者は2254人であり、そのうち66.7%が女性、79.9%が大学生、87.0%が留学生ではなく自国で学んでいた

・平均年齢は22.5歳、平均BMIは24.4kg/m2

・72.2%が7時間以上の睡眠時間であったが、睡眠の質が悪いと評価された人は60.3%

・36.4%が中程度から重度な不安度を有しており、85%が中程度から高レベルのストレスを自覚

・ストレスが高い人ほど睡眠の質が低下し、この関係はルミネーションの増加が媒介していた。一方、レジリエンスが高い場合、ストレスと睡眠の質との関係を弱めた

・不安度が高い人ほど睡眠の質が低下し、この関係はルミネーションの増加が媒介していた。一方、レジリエンスが高い場合、不安レベルと睡眠の質との関係を弱める傾向にあったが、有意差を打ち消すまでには至らなかった

・多くの対象者がCOVID-19はストレス、経済的ストレス、ルミネーション、ネガティブな気分、不安レベル、睡眠の質に悪影響を及ぼしたと回答

解説

この論文の著者らは、ストレスや不安が睡眠時間・睡眠の質に与える影響はルミネーションやレジリエンスといった心理学的な特徴が仲介するという仮説を検証しました。
その結果、睡眠の質については、概ねそのモデルは実証されました。
すなわち、高いレベルのストレスや不安は睡眠の質と負の関係があり、その関係はルミネーションによって媒介されていました。
また、レジリエンスは、ストレス、不安が睡眠の質との負の関係を弱める緩衝材のような働きを持っていました

この論文で用いられた媒介分析(Mediation Analysis)は、因果関係のメカニズムを検証するときに用いられる手法で、媒介要因の影響程度によっては、介入効果を高められる可能性を示唆しています。
今回の場合、ルミネーションを減らし、レジリエンスを高めるアプローチが大学生の睡眠の質を向上させるために有効な可能性を示唆しています。

まとめ

COVID-19パンデミックは大学生の睡眠の質を低下させ、その要因としてはルミネーションやレジリエンスといった心理学的特徴が関与する

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