アスリートが寝る1時間前にキウイフルーツを食べたら睡眠が改善した

2023年8月30日

はじめに

アスリート(スポーツ選手)は、良質な睡眠を確保することが大切です。
良質な睡眠を確保することで、回復促進やパフォーマンス向上、怪我予防を最適化できます。

近年、飲食物やサプリメントが睡眠に及ぼす影響を調べた研究が増えています。
今回紹介する論文では、市販のキウイフルーツに着目しています。

キウイフルーツは、体内時計の調整に重要な役割を果たすメラトニンや幸福感やリラックス感を促進し、睡眠調節に関与するセロトニンを含んでいます。
今回紹介する論文が発表される以前にも、非アスリートを対象として、キウイフルーツによって、睡眠時間が増加したり、睡眠の質が改善したりしたことが報告されています。

今回紹介する論文では、アスリートを対象として、就寝1時間前にキウイフルーツを摂取することの効果を検証しています。

論文概要

出典

Doherty, R., Madigan, S., Nevill, A., Warrington, G., & Ellis, J. G. (2023). The Impact of Kiwifruit Consumption on the Sleep and Recovery of Elite Athletes. Nutrients, 15(10), 2274. https://doi.org/10.3390/nu15102274

方法
セーリング(男性7名、女性2名)と陸上競技中距離(男性2名、女性4名)のナショナル選手を対象

実験期間は5週間
最初の1週がベースライン、残り4週(2-5週)が介入期間
ベースラインと介入期間後にPittsburgh Sleep Quality Questionnaire(PSQI)とRecovery Stress Questionnaire for Athletes(RESTQ Sport)を調査

Consensus Sleep Dairy-CoreとRegulatory, satisfaction, Regulatory, Satisfaction, Alertness, Timing, Efficiency and Durationを毎日調査
(結果は省略)

■キウイフルーツの摂取
介入期間中、対象者は就寝1時間前に中ぐらいの大きさのキウイフルーツ(Actinidia Deliciosa)を2個摂取するように指示された
摂取量は先行研究を参考にし、摂取タイミングはメラトニン分泌を考慮
COVID-19のロックダウン期間中に実験が行われたため、対象者はキウイフルーツを自分で購入、研究終了後に払い戻しを受けた

結果
キウイフルーツ摂取のアドヒアランス(遵守率)は90%
ほとんどのアスリートにとって実験期間はプレシーズンに該当した

PSQIの睡眠の質は介入期間後に有意に改善
PSQIのGlobal Scoreも有意に改善(6.47→4.13)

RESTQのgeneral stress、sport stressは有意に減少

解説

この論文は、就寝1時間前にキウイフルーツ2個を4週間摂取することで、アスリートの睡眠と回復にプラスの影響を与える可能性があることを示唆しています。

こういう論文は、拡大解釈されやすい傾向がありますが、研究の限界があることを認識する必要があります。
例えば、この研究には対照群が存在していません。
また、評価項目を主観的な尺度に頼っており、ウェアラブルデバイスやPSG検査といった客観的な測定は行われていません。

論文の著者らも考察していますが、ホールフード以外の形(ドリンク、フリーズドライ、ジュース)の場合、同じような結果が得られるのかが気になります。

拡大解釈はできませんが、サプリメントよりも、ホールフードをもとに食生活や睡眠を最適化する方が自然な気がするので、アスリートの生活習慣を高めるきっかけ作りとしては、使えそうなエビデンスです。

まとめ

睡眠や回復を最適化させたいアスリートは寝る1時間前にキウイフルーツを食べてみても良いのかもしれない