食事の30分前に水を500ml飲むと減量に効果的な可能性

はじめに

太るか、それとも痩せるかはエネルギー出納によって決まります。
すなわち、摂取カロリーより消費カロリーが多ければ痩せ、消費カロリーよりも摂取カロリーが多ければ太ります

きわめてシンプルな原則なのにもかかわらず、多くの飲食物が簡単に手に入る現代社会では多くの人が摂取カロリー過多となり体重が増加しています。

過体重・肥満者の減量プログラムでは、運動や身体活動量による消費カロリーの増大と食事制限による摂取カロリーの削減が基本となります。
しかし、過体重・肥満者の多くは体力レベルが低く、整形外科的疾患を抱えていることも多いため、始めから激しい運動を行うことが難しい場合があります。
したがって、食事制限によって摂取カロリーを適切なレベルにまで抑えることが減量の成否の鍵を握ります

今回は肥満者を対象として食事の30分前に500mlの水を飲むことの減量効果を検証した論文を紹介します。

論文概要

出典

Parretti, H. M., Aveyard, P., Blannin, A., Clifford, S. J., Coleman, S. J., Roalfe, A., & Daley, A. J. (2015). Efficacy of water preloading before main meals as a strategy for weight loss in primary care patients with obesity: RCT. Obesity (Silver Spring, Md.), 23(9), 1785–1791. https://doi.org/10.1002/oby.21167

方法
イギリスで行われた2群無作為化比較試験(RCT)
対象者はBMIが30以上の成人肥満者
介入期間は12週間

対象者を下記の2群にランダムに分類
介入群:毎食の30分前に500mlの水を飲むように指示
対照群:毎食の30分前に満腹であると想像するように指示
※実験開始時の参加人数は介入群が41名、対照群が43名であったが、途中離脱によって分析対象者は介入群が39名、対照群が38名であった

両群ともに実験開始時に対面や電話で体重管理戦略に関して相談する機会が与えられ、健康的なライフスタイルに関するアドバイスなどを受けた

介入期間の前、中、後に体重、総尿量、尿浸透圧、有害事象の有無、主観的な膨満感(Fullness)・満腹感(Satiety)を評価

結果
※数値は平均値
・実験参加者の特徴はBMIが34.1kg/m2、年齢が56.5歳、男女別の参加人数が30名(男性)、54名(女性)

・実験期間後の体重減少量は実験群のほうが1.3kg多かった(実験群:-2.4kg、対照群:-1.2kg)
→民族性、剝奪指標、年齢、性別といった要因を調整しても、その差は1.2kgと結果はほとんど変わらなかった

・両群ともに有害事象は報告されなかった

・6週目(中間測定)と12週目(事後測定)において、総尿量と尿浸透圧に群間差が認められ、介入群の総尿量が多く、尿浸透圧が低かった

・膨満感、満腹感は介入群で高い傾向にあったが、群間で有意差はなかった

解説

この論文は、「食事の30分前に500mlの水を飲む」という極めてシンプルなアプローチは、肥満者の体重減少に効果的なことを示しています。

この論文では摂取カロリーの評価を行っていないため、詳細なメカニズムは不明ですが、食前に水でお腹を含まらせたことによって食事量が減った可能性が考えられます。

特に肥満者や運動習慣のない人を対象とした場合、始めから厳しい減量プログラムではやる気を阻害する可能性が高く、結果的に失敗におわるケースも多々あります。
しかし、今回の論文のアプローチは比較的気軽に行うことができます。

多量の水の摂取は水中毒などの副作用も考えられますが、この論文では有害事象は報告されませんでした。
したがって、特別な疾患を抱えている人は除き、この程度の量であれば水摂取による悪影響が起きる可能性は高くないのかもしれません。
ただし、介入群では1日の総尿量が500ml以上多くなっていたため、トイレに行く頻度は増えたと考えられます。

なお、この論文で介入群に推奨された飲料はミネナルウォーターであり、炭酸水や甘味料の入った飲料は禁止されていました。

まとめ

食事30分前に500mlの水を飲むと体重減少に役立つ