朝食のタンパク質摂取量は筋トレの効果を左右する

2021年5月26日

はじめに

トレーナーの多くは筋肥大(筋肉量増加)を目的として日々レジスタンストレーニング(筋トレ)に励んでいます。

筋肥大のためには筋タンパクの合成が分解を上回る必要があり、筋トレは筋タンパクの合成スイッチをオンにする刺激となります
しかし、たとえ同じ筋トレを実施しても、食生活や睡眠といった生活習慣によっては筋タンパクの合成と分解のバランスが変わります

数ある要因の中でも量、質ともに十分なタンパク質の摂取は筋タンパク合成の最大化に重要だと認識されています。
量的な側面ではタンパク質の摂取量は体重1kg当たりにおける1日のタンパク質摂取量(例:1.2~1.7g/kg/日)が代表的な評価基準になります。

一方、質的な側面としてはタンパク質の種類や摂取タイミングが挙げられ、今回は摂取タイミングに着目します。

日本人の食生活は朝食のタンパク質摂取量が低くなりがちです。
朝食のタンパク質摂取量が不足している場合、前日の夕食以降、長時間にわたりタンパク質摂取が滞るため、筋タンパク合成は下がり、筋タンパク分解は高まります。
したがって、たとえ昼食以降のタンパク質摂取量で不足分を余剰に摂取したとしても、ネガティブな影響を相殺できない可能性が考えられます。

今回は1日のタンパク質摂取量は同等であるが、朝食のタンパク質摂取量が異なる場合、筋トレの効果に差が生まれるのかを検証した論文を紹介します。

論文概要

出典

Yasuda, J., Tomita, T., Arimitsu, T., & Fujita, S. (2020). Evenly Distributed Protein Intake over 3 Meals Augments Resistance Exercise-Induced Muscle Hypertrophy in Healthy Young Men. The Journal of nutrition, 150(7), 1845–1851. https://doi.org/10.1093/jn/nxaa101

方法
健常若年男性(18-26歳、非喫煙者、過去1年以上筋トレをしていない)33名をランダムに下記の2群に分類
12週間のトレーニング実験を実施
※実験期間中の途中離脱によって最終的な分析対象者は26名
・High breakfast(HBR):朝食に十分なタンパク質を摂取するグループ
・Low breakfast(LBR):朝食のタンパク質摂取量が少ないグループ

食事介入の詳細は下記のとおり
実験期間中をとおして両群の朝食は規定食を摂取
規定食は100gのヨーグルト(エネルギー:63kcal、タンパク質:3.6g)、50gのグラノーラ(エネルギー:約230kcal、タンパク質:約4g)
加えてHBRは朝食にプロテインシェイク(エネルギー:82-83kcal、タンパク質:15g)を摂取
LBRはHBRが朝食として摂取したプロテインシェイクを夕食に摂取

トレーニング内容は下記のとおり
頻度:3回/週(合計36セッション)
種目:マシン
負荷:3セット×10回(最初は50%1RMから始め、8セッションまでは75%1RMと徐々に漸増、9-36セッションは75-80%1RMで実施)
休息時間:2-3分

トレーニング期間の前後に下記の項目を測定
最大筋力:マシン種目(レッグカール、レッグエクステンション、アームカール、ロー、チェストプレス)の最大挙上重量(1RM)を測定

身体組成:二重X線吸収法で四肢の除脂肪軟組織量(≒脚と腕の筋肉量)、全身の除脂肪軟組織量(全身の筋肉量)、脂肪量を測定

栄養調査:3日間の食事記録

結果
※数値は平均値

栄養調査
→トレーニング前の時点で対象者のうち朝食で61.5%、昼食で15.4%、夕食で3.8%の人が十分な筋タンパクの合成に必要とされるタンパク質摂取量(体重1kg当たり0.24g)を満たしていなかった
→1日当たりのエネルギー摂取量、タンパク質・脂質・糖質の摂取量:トレーニング前後、群間で有意差なし
→朝食のタンパク質摂取量:HBRで増加、LBRで低下(HBR: 0.23g/kg→0.33g/kg、LBR: 0.21g/kg→0.12g/kg)
→夕食のタンパク質摂取量:HBRで変化なし、LBRは増加(HBR: 0.60g/kg→0.48g/kg、LBR: 0.62g/kg→0.83g/kg)

最大筋力
→両群ともに各種目で20%以上増加(群×時間の交互作用なし)
→ただし、レッグエクステンションの増加はHBRで著しい傾向(HBR: 35.2%、LBR:25.9%)

身体組成
→両群ともに体重、BMI、四肢の除脂肪軟組織量、全身の除脂肪軟組織量が増加(群×時間の交互作用なし)
→ただし、全身の除脂肪軟組織量の増加はHBRで著しい傾向(HBR: 2.5kg、LBR:1.77kg)

解説

日本で行われたトレーニーに示唆を与える論文です。

この論文は、朝昼晩とタンパク質を均等に摂ることで、夜に集中的に摂るよりも全身の筋肉量や膝関節伸展の最大筋力が効果的に向上する可能性を示しています。
ただし、全身の筋肉量を表す全身の除脂肪軟組織量、膝関節伸展の最大筋力を表すレッグエクステンションの1RMともに傾向はあったものの、統計学的には群×時間の交互作用は認められませんでした。
これについては当初の予定よりもサンプルサイズが減少してしまったことが影響していると考えられます。

論文によって筋タンパクの合成率を最大化するための摂取量は多少異なりますが、多くても0.3g/kgと言われています。
したがって、LBMのトレーニング期間後の夕食(0.83g/kg)は明らかに余剰であり、摂りすぎたタンパク質は筋タンパク合成のためには有効に働かなかったと考えられます。

ご飯派、パン派に関わらず朝食は意識をしなければタンパク質が豊富に含まれた主菜を摂ることを忘れがちです。
しかし、ボディーメーキングのためには十分なタンパク質の摂取(0.24g/kg、体重60kgの人では約15g)を心がけたほうが良いといえます。

まとめ

筋トレの効果を高めるためには朝食のタンパク質摂取量に気を配るべき

忙しい朝食には1食当たり10gのタンパク質が含まれたスムージーを(広告)