超低糖質食と低糖質食のダイエット効果の比較

2023年9月6日

はじめに

過体重・肥満者が体重を減らすことは医療費削減をはじめとした公衆衛生上の問題のためにも重要です。

体重を減らすアプローチとして、近年では低糖質食(Low Carbohydrate Diet: LCD)や超低糖質食(Very Low Carbohydrate Diet: VLCD)と呼ばれる食事が注目されています。
なお、LCDは1日当たり130g未満の糖質量、VLCDは1日当たり20-50gの糖質量が目安のようです。

今回は、RIZAPグループらの研究グループが過体重・肥満者を対象に実施したVCLDとLCDの効果を比較した論文を紹介します。

論文概要

出典

Kikuchi, T., Kushiyama, A., Yanai, M., Kashiwado, C., Seto, T., & Kasuga, M. (2023). Comparison of Weight Reduction, Change in Parameters and Safety of a Very Low Carbohydrate Diet in Comparison to a Low Carbohydrate Diet in Obese Japanese Subjects with Metabolic Disorders. Nutrients, 15(6), 1342. (CC BY 4.0) https://doi.org/10.3390/nu15061342

方法
2カ月に及ぶランダム化比較試験
年齢(20-65歳)、BMI(25から35未満)、代謝性疾患あり、HbA1c(8.5%以下)、実験開始前に4週間以上の食事と運動療法を続けている、などの選定基準をクリアした42人の男女を対象

対象者はランダムにLCD群(1日当たりの糖質量:120g)とVLCD群(同:50g)に21人ずつ割り当て
対象者、実験実施者もどちらの群なのか理解した上での実験

実験期間中の食事は全て提供
食事は指定の主要栄養素と十分な食物繊維を含む

総エネルギー摂取量は理想的な体重(BMI22)と身体活動レベルをもとに算出
PFC比はLCD群が27:47:26、VLCD群が27:61:12相当

対象者はオリジナルのスマホアプリを介して管理栄養士に毎食の食事内容を報告
栄養士の経験やコンサルティングスキルによる影響を避けるため、1人の管理栄養士が両群に指導


Figureは1800kcalの人の朝食

対象者には研究前と同等の身体活動レベルを維持するように指示

体重、体組成の測定を-4週、0週(ベースライン)、4週、8週に実施
血圧や血液プロフィールの測定を実験前後に実施

結果
数値は中央値

体重(LCD群:-5.4kg、VLCD群:-8kg)、体脂肪率(LCD群:-2.6%、VLCD群:-2.8%)、ウエスト周径囲(LCD群:-6.8cm、VLCD群:-8.5cm)が減少
ただし群間差なし

トリグリセリド、LDL-C、HDL-Cの変化に群間差なし

AST、ALT、γ-GTP は減少
ただし群間差なし

HbA1c、空腹時血糖値は減少
ただし群間差なし

総ケトル体、3-OHBBA、アセチル酢酸は増加
またLCD群よりもVLCD群の増加が顕著

クレアチニンはVLCD群のみ有意に減少
群間差あり

解説

RIZAPグループらの研究成果です。
両群ともにドロップアウトがいないこと、アプリを使って食事をフォローアップしている点が研究のウリです。
得られた結果は、LCD、VLCDともに日本人の過体重・肥満者の体重減少に効果的なことを示しています

RIZAPのホームページによると・・・

RIZAP パーソナルトレーニングジムは一人一人のなりたいイメージに合わせて設定しています。減量を目指す方には1日50g 以下に設定し、目標のボディメイクを達成した方や、ゆるやかに糖質のコントロールをおこないたい方には40g~120g をお勧めしています。
とあります。

https://shop.rizap.jp/info/carbo/

したがって、この食事はRIZAPのメソッドと言えるアプローチだと思われます。
実際、RIZAPのプレスリリースにもそのような文言があります。
https://www.rizapgroup.com/news/information/20230614-01/

この論文からはこのアプローチの長期的な影響は分かりませんが、エビデンスベースドな姿勢を見せていくのは、人の健康に関する企業としては評価できるのかなと感じます。

まとめ

低糖質食、超低糖質食は日本人の太りすぎの者の体重減少に効果的