高タンパクな朝食をとると昼食・夕食後の血糖値上昇を抑えられる

はじめに

食後高血糖とは食事の血糖値が高い状態になることです。
食後高血糖は、将来の動脈硬化や糖尿病に繋がるリスクになります。

当サイトでは、身体活動による食後血糖値上昇抑制効果を検討した研究を紹介しました。


今回は身体活動ではなく、食事のとり方に着目した研究を紹介します。
紹介する論文では、最初の食事(例:朝食)が2回目の食事(例:昼食)後の血糖値に及ぼすセカンドミール効果に着目し、高タンパク質な朝食の効果やその後の昼食の有無が1日を通した血糖値に与える影響を検証しています。

論文概要

出典

Xiao, K., Furutani, A., Sasaki, H., Takahashi, M., & Shibata, S. (2022). Effect of a High Protein Diet at Breakfast on Postprandial Glucose Level at Dinner Time in Healthy Adults. Nutrients, 15(1), 85. https://doi.org/10.3390/nu15010085

方法
19名の健康的な若年成人男女を対象

ランダム化クロスオーバーデザインで下記4条件を実施
NS→朝:通常食、昼:欠食
PS→朝:高タンパク質食、昼:欠食
NL→朝:通常食、昼:ランチ
PL→朝:高タンパク質食、昼:ランチ
朝食は8時、昼食は13時、夕食は18時に摂取

FreeStyle Liibre Proを用いて血糖値を15分毎自動測定

実験日前日の夕食、当日の朝食(高タンパク質、通常食)、ランチ、夕食の内容は男女別に設定
朝食のエネルギー(kcal)は条件間でほぼ同じなものの、エネルギー比率が大幅に異なる
昼食はランチ条件でもエネルギーが少なめ(200kcal未満)

加速度計で身体活動量を評価

結果
実験当日の身体活動量に条件間での有意差なし

朝食から16時間後(24時)までの血糖上昇曲線下面積(iAUC)
PL<NL
PS=NS

朝食後3時間のiAUC
PL<NL

昼食後1.5時間のiAUC
PL<NL

夕食後3時間のiAUC
PL<NL
NS=PS

解説

この論文は、高タンパク質の朝食を摂取することで、朝食後のみならず、昼食後・夕食後の血糖値の上昇を抑制できることを示しました。
ただし、朝食に高タンパク質を摂ることによる夕食後の血糖値上昇抑制効果は、昼食を欠損した場合には消失しました(昼食欠食条件同士の比較)

この論文によると、セカンドミール効果のメカニズムとして、遊離脂肪酸、インスリン、身体的胃排出機能など、いくつかの要因が提唱されているそうです。
そして、高タンパク質の朝食は、空腹時に上昇した遊離脂肪酸濃度を低下させる効果があるようです。
加えて、高タンパク質食は、インスリン分泌の促進、肝臓のインスリンクリアランスの減少効果があるそうです。

一方、昼食を欠食した場合に夕食後の血糖値上昇抑制効果が消失する理由としては、絶食時間が長時間になることで遊離脂肪酸が高まってしまうため、朝食でとった高タンパク質食の効果がなくなってしまう可能性が考えられます。
ただし、PSとPL間の夕食後のiAUCを比べると、有意差はないようです。

因みに高タンパク質の食事は、サラダチキン、サラダフィッシュ(男性のみ)、プロテインバー、ミルクプロテイン、プロテイン粉末、ヨーグルト、イヌリンパウダーで構成され、男性では100g近く、女性では80gを超えるタンパク質がふくまれていました。
かなり偏った食事です。

2×2の4条件の実験設定は、理解をするのに時間を要します。
また、〇〇が良いといったときに、他の3条件と比べた場合なのか、ある1条件と比べた場合なのか、きちんと理解する必要があります。

まとめ

血糖コントロールを意識した場合には朝食に高タンパク質を摂った上で、昼食は欠食するよりは軽く摂取した方が良い