HIITは数日間連続実施して良いのか?

はじめに

持久系アスリートや持久系スポーツ愛好家の多くは、フィットネス向上を目的に高強度トレーニングを行います。
高強度トレーニングの狙いの一つは、心肺機能に負荷を掛けることで、最大酸素摂取量をはじめとする全身持久力を高めることにあります。

通常、高強度トレーニングを行う際には間に数日の低強度トレーニング(イージー)や休息(レスト)といった回復期間を設けます。
これは、高強度トレーニングは心身への負担が高いことが理由だと思われます。
しかし、実際に数日間連続して高強度トレーニングを行うとデメリットがあるのか、明確な回答を持っている人はほとんどいません。

今回は約15年前に発表された論文をもとに、高強度インターバルトレーニング(HIIT)を連続的に実施した場合と非連続的に実施した場合のトレーニング効果をみていきます。

論文概要

出典

Gross, M., Swensen, T., & King, D. (2007). Nonconsecutive- versus consecutive-day high-intensity interval training in cyclists. Medicine and science in sports and exercise, 39(9), 1666–1671. https://doi.org/10.1249/mss.0b013e3180cac209

方法
17名(男性13名、女性4名)の大学生サイクリストを対象
対象者は最大酸素摂取量(VO2max)が平均値で60ml/kg/minを超える集団

プレテストの5kmTTのパフォーマンスをもとに下記の2群に割り当て
・連続実施群
・非連続実施群

実験開始時は連続実施群が9名、非連続実施群が8名
途中離脱によって最終的なデータ分析対象者は連続実施群が9名、非連続実施群が6名

トレーニング内容は下記のとおり
期間:3週間
頻度:3回/週
(連続実施群が3回連続で毎週実施、非連続実施群は最低中1日を空けて週3回実施)
HIITの内容:
8本×2.5分100%@100%ピークエアロビックアウトプット(PPOa)-4分@25%PPOa
2本完遂できなくなった時点あるいは8本完遂できたら場合終了
※HIITを実施しない日は休息あるいは低強度トレーニングを実施

トレーニング期間の前後に5kmTTと漸増負荷試験を実施

結果
※数値は平均値

漸増負荷試験の最高酸素摂取量(連続実施群:4.25L/min→4.48L/min、非連続実施群:4.34L/min→4.54L/min)・PPOa(連続実施群:325W→348W、非連続実施群:328W→351W)、5kmTTのスピード(連続実施群:37.5km/h→38.3km/h、非連続実施群:37.0km/h→38.1km/h)は両群で増加
ただし群×時間の交互作用なし

トレーニングの完遂率に群間差なし(連続実施群:66.5%、非連続実施群:70.3%)

解説

この論文は、持久力の高い大学生サイクリストたちを対象として、HIITプログラムを週3回実施するグループを2つ設けています。
このうち、連続実施群は3日連続して、非連続実施群は間に最低1日空けた上でHIITを行っています。
その結果、両群ともに全身持久力やパフォーマンスの改善が認められましたが、群間での差がありませんでした。
従って、HIITを数日連続実施することの弊害は認められませんでした。

論文の著者らは、両群ともにトレーニング効果には個人差があったことを踏まえ、ある人にとっては連続実施が望ましく、またある人にとっては非連続実施が望ましい可能性があると指摘していました。

日頃、何となく回復期間を設けて実施しがちなHIITですが、実際には実施タイミングを最適化するのは簡単な作業ではないようです。

まとめ

HIITを数日連続実施しても、休息日を設けながら実施しても、トレーニング効果は変わらない