COVID-19パンデミック中の閉経後女性の精神的不安と身体活動との関係

2021年1月9日

はじめに

COVID-19流行後、数多くの論文がメンタルヘルス・精神衛生と身体活動との関係を報告しています。

一般に更年期(閉経前後)の女性は、女性ホルモンの分泌低下によって、高いレベルの不安症状や身体活動量の低下などが起きやすいとされています。

今回紹介する論文では、COVID-19パンデミックによる自主隔離期間中の閉経後女性の運動習慣、身体活動レベル、不安レベルとの関係に着目しています。

論文概要

出典
Belgen Kaygısız, Beliz et al. “Determination of exercise habits, physical activity level and anxiety level of postmenopausal women during COVID-19 pandemic.” Health care for women international, 1-15. 11 Dec. 2020, doi:10.1080/07399332.2020.1842878

方法
北キプロスに住む104名の閉経後女性(年齢:50-75歳)が研究に参加した
研究参加者は、少なくとも閉経後1年が経過していた
自己隔離後1ヶ月が経過した2020年4月下旬にアンケート調査が行われた

結果
・パンデミック前の身体活動レベルが高かった人は、パンデミック中も身体活動レベルが高かった
・パンデミック前に運動習慣があった人の約半数がパンデミック中に運動習慣がなくなった
・不安レベルと身体活動レベルとの間には負の相関関係があった
身体活動レベルが低い人では不安症状が強い傾向
・孫の人数は、身体活動レベルとの間には負の相関関係、不安レベルとの間には正の相関関係があった
孫が多い人は、身体活動レベルが低く、不安症状が強かった

解説

COVID-19のパンデミックは、人々が身体活動レベルを減らしやすい環境を作り出しました。
この論文は、閉経後女性以外を対象としたこれまでの報告同様、身体活動レベルが低い人は、不安レベルが高い傾向が認められました
閉経後女性は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が低下し、不安やストレス、抑うつといった症状を引きやすいことから、論文の著者らは、特にこの年代の女性の身体活動レベルを維持するような政策が必要と述べています。

この論文の面白い結果は、孫の数が増えると、身体活動レベルは低く、不安レベルが増加する関係が認められたことです。
著者らはこの原因として、孫や自身が病気になることで、孫の世話ができなることを心配している可能性があることや、外出に対する不安、地域のフィットネスセンターの閉鎖、所属するグループでの運動機会の減少によって、身体活動を確保するのに障壁ができた可能性を指摘しています。

閉経後女性に限らず不必要な外出はCOVID-19感染のリスクを高めてしまう一方で、過度な身体活動レベルの減少は身体的・精神的に不健康を招くことから、適切な感染対策をしながら十分な身体活動量を維持することが大切と言えるでしょう。

まとめ

COVID-19パンデミック中の閉経後女性の身体活動レベルは、精神衛生(不安)と関係する