隠れ肥満な女性の身体組成の改善には大豆たんぱく質がオススメ

2021年11月24日

はじめに

正常体重肥満(Norma-Weight Obesity)は、隠れ肥満と言い換えることができます。
隠れ肥満は、BMIからみたら正常体重にも関わらず、除脂肪量(≒筋肉量)が少なく体脂肪量が多い状態のことです。

今回は、隠れ肥満な成人女性を対象に6カ月間にわたる高タンパク質の大豆製品(ソイビーンズ)を間食に摂取した効果を検証した論文を紹介します。

論文概要

出典

Haghighat, N., Ashtary-Larky, D., Bagheri, R., Wong, A., Cheraghloo, N., Moradpour, G., Nordvall, M., Asbaghi, O., Moein Vaziri, N., Amini, M., Sohrabi, Z., & Dutheil, F. (2021). Effects of 6 Months of Soy-Enriched High Protein Compared to Eucaloric Low Protein Snack Replacement on Appetite, Dietary Intake, and Body Composition in Normal-Weight Obese Women: A Randomized Controlled Trial. Nutrients, 13(7), 2266. https://doi.org/10.3390/nu13072266

方法
イランで実施されたパラレルデザインランダム化臨床試験
一定の参加基準(性別:女性、年齢:20-40歳、BMI:18.5-25kg/m2、体脂肪率:30%以上、など)を満たした120名の隠れ肥満女性を対象
介入期間は6カ月

対象者は1:1の比率でランダムに下記2群に分類
・高タンパク質間食群(High protein Snack: HP)
→50gのソイビーンズ(タンパク質:18.2g、糖質:15g、脂質:10g、エネルギー:210kcal)
・低タンパク質間食群(Low protein Snack: LP)
→HPと同カロリーのフルーツ(タンパク質:2g未満、糖質:50g程度、脂質:1g未満、エネルギー:210kcal程度)

介入期間中、対象者は午前10時(昼食の約3時間前)に間食を摂取
午前10時の間食以外の食生活については自由(ただしサプリメントの摂取は控えるように指示)とし、通常の食生活や身体活動レベルを維持するように指示された
間食の摂取状況の報告とリマインダーは、電話あるいはアプリによって週1回の頻度で実施

介入期間前後に下記項目を測定
・形態・身体組成
身長、体重、体脂肪率・骨格筋量(多周波バイオインピーダンス法)、ウエスト周径囲

・食欲
・昼食の5分前にVisual Analog Scale(VAS)を用いて評価

・身体活動量
International Physical Activity Questionnaire (IPAQ)を用いて評価

・食事調査
24時間思い出し法を用いて3日間(平日1日、週末2日)の食事状況を評価

結果
・最終的なデータ分析対象者はHPが52名、LPが55名
・間食の遵守率はHPで86.6%、LPで91.6%

【形態・身体組成】
・体重・BMIは介入期間後にHPでは低下、LPでは増加
・ウエスト周囲囲(HP: -4.3cm、LP:-0.9cm)、体脂肪率(HP: -3.7%、LP: -0.9%)は介入期間後に両群で低下したが、HPで顕著
・骨格筋量(HP: +1.2kg、LP: +0.3 kg)は介入期間後に両群で増加したが、HPで顕著

【食欲】
・HPは介入期間後に低下(-12mm)、LPは変化なし

【身体活動量】
・両群ともに介入期間前後で変化なし

【食事調査】
・HPは介入期間後にエネルギー摂取量(-166kcal/日)・脂質の摂取量(-2.98g/日)が減少
・LPは介入期間後にエネルギー摂取量(+01kcal/日)・脂質の摂取量(+4.5g/日)が増加
・タンパク質の摂取量・食物繊維の摂取量は両群ともに介入期間後に増加
・糖質の摂取量は介入期間後にHPで低下(LPは変化なし)

解説

この論文は、隠れ肥満な成人女性を対象として6カ月間にわたり高タンパク質の間食(ソイビーンズ)の効果について、フルーツを摂った場合と比較検証しています。
その結果、ソイビーンズを摂ったグループでは、体重、体脂肪率・ウエスト周囲囲が低下し、骨格筋量は増加していました。
一方、フルーツを摂ったグループでは、体脂肪率・ウエスト周囲囲の低下や骨格筋量の増加は認められましたが、ソイビーンズを摂ったグループより軽微な変化でした。
これらの結果は、長期間にわたる高タンパク質の間食は、隠れ肥満な成人女性の身体組成の改善に効果的なことを示唆しています。

様々な研究によって、十分なタンパク質の摂取は、筋肉量を高めることに貢献することが示されています。
当サイトでも以前に高齢者を対象とした論文をもとに、高タンパク質の食事の効果を言及しました。

今回紹介した論文では、レジスタンストレーニング(筋トレ)を行っていないのにも関わらず、ソイビーンズを摂ったグループでは顕著な骨格筋量の増加が認められました

今回紹介した論文で用いられた高タンパク質は、植物性タンパク質の代表的食材である大豆を原材料としています。
大豆たんぱく質は、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きを持つイソフラボンを豊富に含んでいます。
論文のデザイン上、タンパク質そのものの効果なのか、あるいは植物性タンパク質・大豆たんぱく質による特異的な効果なのかは不明ですが、ソイプロテインは体脂肪減少に効果的な可能性も示唆されています。

また、この論文では介入期間前後に食事調査と食欲も評価しています。
その結果、高タンパク質の間食を摂ったグループでは、エネルギー摂取量が減少していた上、昼食前の食欲が低下していました。

以前紹介したとおり、高タンパク質の食事は食欲のコントロールに有効です。

したがって、この論文の結果は、高タンパク質そのものの効果というよりは、高タンパク質食を摂ったことで食欲コントロールが上手くなり、カロリーコントロールが上手くなったことが影響しているとも考えられます。

まとめ

隠れ肥満な女性のボディーメーキングには大豆たんぱく質を間食に