タバタ式HIITは思春期肥満者の減量に効果的

2021年5月21日

はじめに

タバタ式High intensity Interval training(HIIT)は、20秒間の高強度運動と10秒間の休息を1サイクルとして、それを7から8回繰り返すインターバル形式のトレーニングのことです。

タバタ式HIITのオリジナルの論文は、体育大学に所属する男子大学生を対象として、自転車運動のタバタ式HIIT(20秒@約170%VO2maxの高強度運動と10秒間の休息を1サイクルとして7-8回実施)を週5回の頻度で6週間実施したところ、有酸素性持久力(最大酸素摂取量)、無酸素性持久力(最大酸素借)が向上したことを報告しています。

(引用:Tabata, I., Nishimura, K., Kouzaki, M., Hirai, Y., Ogita, F., Miyachi, M., & Yamamoto, K. (1996). Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max. Medicine and science in sports and exercise, 28(10), 1327–1330. https://doi.org/10.1097/00005768-199610000-00018)

このようにタバタ式HIITのオリジナルは、実験室にて運動強度を厳密に決定した上で、負荷をコントロールしやすい自転車運動で行われました
またオリジナルの論文では、有酸素性・無酸素性の両体力を同時に改善出来ることが主な結果です。

2000年に入って以降、アメリカをはじめとするフィットネス大国でタバタ式HIITが注目され、今日では世界中で様々な運動様式を用いて派生したタバタ式HIITが行われています。
また、オリジナルの論文では証明されていない脂肪燃焼効果なども謳われています。

今回は、思春期の学生を対象として、体育の授業中にタバタ式HIITを実施した際のトレーニング効果をBMI別に検証した論文を紹介します。

論文概要

出典
Domaradzki, J., Cichy, I., Rokita, A., & Popowczak, M. (2020). Effects of Tabata Training During Physical Education Classes on Body Composition, Aerobic Capacity, and Anaerobic Performance of Under-, Normal- and Overweight Adolescents. International journal of environmental research and public health, 17(3), 876. https://doi.org/10.3390/ijerph17030876

方法
16歳の学生を対象
当初、体育の授業に参加していたのは男性39名、女性35名であったが、その他の身体活動を行っている・医学的問題を抱えている等の理由により、分析対象者は男性28名、女性30名
男女別に過小体重(BMI18.5未満)、通常体重(BMI18.5-24.99)、過体重(BMI25以上)に分けて分析

トレーニング期間は10週間
対象者は週3回の体育の授業のうち、1回の授業内でタバタ式HIIITを実施

タバタ式HIITの具体的方法は下記のとおり
20秒@高強度運動-10秒@低強度運動(休息)×8サイクル×3セット
高強度運動:ナロースタンススクワット、ブーティーキッカー、トゥータッチ、ランジ、マウンテンクライマーなどの全身運動を可能な限り素早く実施
低強度運動(休息):スキップやジャンプ、ウォーキングなどを実施
※前後にウォーミングアップとクーリングダウンを実施

トレーニング期間の前後に身体組成(インピーダンス法)、全身持久力(ハーバードステップテスト)、敏捷性能力(4×10mシャトルランテスト)、下肢の筋パワー(垂直飛び)を測定

結果
・体重は男女ともに過体重群のみ低下(男性:89.12kg→84.80kg、女性:79.04kg→76.67kg、数値は平均値)

・ウエスト:ヒップ比は男性では通常体重群・過体重群、女性では過体重群のみ低下

・体脂肪率は男女ともに過体重群のみ低下(男性:27.58%→24.82%、女性:36.76%→34.79%、数値は平均値)

・全身持久力は男性の過小体重群・過体重群のみ増加

・敏捷性能力・下肢の筋パワーは男女ともに全ての群で変化なし

解説

タバタ式HIITのオリジナル論文の筆頭著者である田畑泉氏は、山本義徳氏とのYoutube動画において、「痩せるというのはタバタトレーニング自体では考えられない」と発言されています。

一方、この論文では思春期の学生を対象として10週間にわたり週1回の頻度でタバタ式HIIITを実施させたところ、過体重(BMIが25以上)のグループのみ男女ともに体重・体脂肪の減少効果が認められました

また結果に示したとおり、その減少の程度も意味のあるものでした。
したがって、タバタ式HIITは対象者の特徴によっては減量効果を持っていると言えます。

ただし、この論文では、週1回の実施であるものの1回のセッションで3セットのタバタ式HIITを実施していることに注意を要します。
また、体重・体脂肪の増減はトレーニング以外の日常生活活動量、食事量などに大きく依存します。
この実験では対象者に対して、通常の食事と日々の身体活動レベルを維持するよう指示していましたが、厳格にコントロールしていないため、実際にそれらがどの程度影響を及ぼしたのかは不明です。

また通常体重群では、男性のウエスト・ヒップ比を除き、10週間のトレーニング前後で身体組成、全身持久力、敏捷性能力、下肢の筋パワーの全指標で統計学的な有意差がありませんでした。
したがって、対象者の特徴によってはこの程度のトレーニング刺激では十分な効果を引き出せないと言えます。

まとめ

太りすぎの思春期の人はタバタ式HIITを取り入れることで減量効果が期待できる