筋トレ種目にバリエーションを持たせると内発的動機が高める

2021年12月14日

はじめに

レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)の効果を左右する変数は様々なものがあります。
当サイトでも各変数の効果を検証した論文をいくつか紹介してきました。




 

今回は種目に関する研究です。

紹介する論文では、伝統的なレジスタンストレーニング(実施種目を固定)と毎回のセッションでランダムに種目を決めるトレーニングを実施した際の最大筋力、筋肥大、内発的動機への効果を比較検証しています。

論文概要

出典

Baz-Valle, E., Schoenfeld, B. J., Torres-Unda, J., Santos-Concejero, J., & Balsalobre-Fernández, C. (2019). The effects of exercise variation in muscle thickness, maximal strength and motivation in resistance trained men. PloS one, 14(12), e0226989. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0226989

方法
2年以上のレジスタンストレーニング経験を有する男性を下記の2群にランダムに割り当て
・コントロール群(CON)
・実験群(EXP)

各群のトレーニング内容は下記のとおり
頻度:週4回(上半身2回、下半身2回)
期間:8週間
強度:12RM(0-2週)、10RM(3-4週)、8RM(5-6週)、6RM(7-8週)
セット数:3セット(セット間の休息時間:2分)
CONの実施種目:ベンチプレス・ペンドレーロウ・ショルダープレス・ラットプルダウン・ダンベルフライ・ダンベルプルオーバー(以上、上半身)、バックスクワット・デットリフト・レッグプレス・ヒップスラスト・レッグエクステンション・レッグカール(以上、下半身)
EXPの実施種目:本研究用に作られたアプリケーションが80種目からランダムに種目を選択(ただし、上半身は押す種目・引く種目、下半身は前面を鍛える種目・後面を鍛える種目が均等になるように配慮)
※両群のトレーニング時間、ボリューム(量)は同等

トレーニング期間の前後に下記項目を測定
・最大筋力:ベンチプレスとバックスクワットの1RMの挙上重量
・筋厚(筋肥大の指標):大腿直筋、外側広筋、中間広筋
・内発的動機

結果
・1RMの挙上重量は両群で増加(群間の有意差はないものの、CONでやや顕著な増加)

・外側広筋と大腿直筋の筋厚は両群で増加。中間広筋の筋厚は、統計学的な増加はCONのみ(ただし、群間差はなし)

・内発的動機はEXPのみ増加。CONはやや減少(ただしトレーニング前と比べて有意差なし)

解説

この論文は、筋トレ経験を有する男性トレーニーを対象とした場合、実施種目をランダムに決めると内発的動機に好影響があったことを示しています。

内発的動機とは、好奇心や探求心、向上心といった本人の内部から沸き起こるやる気・動機(モチベーション)のことを言います。
これに対して外発的動機とは、他者の評価、成果に対する報酬・懲罰など、外部要因から起こるやる気・動機のこと言います。

外発的動機はときに起爆剤的な効果を持つことがありますが、長期間にわたってモチベーションを維持することには向いていません。

レジスタンストレーニングを行う目的がボディーメーキングであっても、スポーツパフォーマンスの向上であっても、十分な効果を得るにはトレーニングを継続することが不可欠であることから、内発的動機を高めることは非常に重要です。

トレーニング種目にバリエーションや遊び要素を加えることで内発的動機が向上するメカニズムはわかりませんが、単調なトレーニングでは飽きが生じやすいことが関係しているかもしれません。

ベンチプレスとバックスクワットの1RM挙上重量は、有意ではないものの、CONでの増加が著しい傾向にありました。
これは、EXPでは当該種目を実施しないセッションがあった一方、CONでは毎回のセッションで実施していたことが関係していると考えます。
すなわち、CONはベンチプレスとバックスクワットを高頻度で実施したために、神経筋系の適応や学習効果がより得られたと思われます。

まとめ

筋トレの内発的動機を高めるには種目に遊びを持たせることが大事