体重を計る頻度は減量結果と関係する

はじめに

以前、BMI25以上の過体重・肥満者を対象として、6ヶ月間にわたり「毎日の体重計測」を指示した結果、毎日計れた人では平均9.2kgの体重減少が認められた一方、毎日測れなかった者は平均3.1kgの体重減少だった論文を紹介しました。

日常的に体重を計ることは、体重増減に関する各行動に対して、実際にどう体重が変化するのかの認識を高めることに繋がり、その後の体重減少を促進する可能性があります。

今回紹介する論文は、10,000人近いスマートスケールユーザーを対象に、正常体重・過体重・肥満とカテゴリー分けした上で、計測頻度と体重変化との関連を報告しています。

論文概要

出典

Vuorinen, A. L., Helander, E., Pietilä, J., & Korhonen, I. (2021). Frequency of Self-Weighing and Weight Change: Cohort Study With 10,000 Smart Scale Users. Journal of medical Internet research, 23(6), e25529. https://doi.org/10.2196/25529

方法
Withings smart scaleのユーザーからランダムに10,000人を抽出
身長、BMI、年齢、データ数など一定の除外基準をクリアした9768人分のデータを分析
分析対象者は1年以上にわたり体重計測を続け、最低30の計測データがあった

体重変化は最初の7日間と最後の7日間の体重の差によって算出

BMIをもとに正常体重(18.5 kg/m2から25 kg/m2未満)、過体重(25 kg/m2から30 kg/m2未満)、肥満(30 kg/m2以上)に分類

計測間隔が30日以上になった場合、計測ブレークと定義

結果
■参加者の特徴
平均年齢:41.52歳
平均BMI:26.78kg/m2
→対象者のうち42.0%が正常体重者、38.4%が過体重者、20.7%が肥満者
男性:66.7%
平均追跡期間:1085日
計測数の中央値:352日(2.8日/週)

■体重変化
平均の体重変化:-0.59kg(-0.37%)
→正常体重者:+0.78kg、過体重者:-0.58kg、肥満者:-3.35kg

■計測頻度と体重変化との関係
計測頻度と体重変化との間に有意な負の相関(r = -0.111)
→正常体重者:r = -0.100、過体重者:r = -0.125、肥満者:r = -0.148

計測頻度から体重変化の予測式を作ると・・・
肥満者は週1回以上の計測で体重減少
過体重者は週2-3回以上の計測で体重減少
正常体重者は週7回計測しても体重は減少しない(95%信頼区間が0kgをまたぐ)

■計測ブレーク
72.5%の対象者で最低1回の計測ブレークが観察
計測ブレーク後、平均0.85kgの体重増加が観察
カテゴリー別にみると、計測ブレークによる体重増加量の中央値は肥満者(+1.37kg)が過体重者(+0.93kg)・通常体重者(+0.58kg)より多い

解説

以前に紹介した論文は、減量を目的とした介入手段として、毎日の体重計測を指示していました。
一方、今回の論文は、スマートスケールの一般ユーザーを対象とした自由行動下での観察研究です。
つまり、因果関係を断定できません。
また、対象者が減量を目的として体重を計測していたのかは分かりません。
ただし、過体重者・肥満者では意図的かに関わらず、減量することは意義があります。

いずれにしても、減量が捗る際は体重を頻繁に計りがちで、一度計るのをやめるとリバウンドしてしまう人はいるため、論文の結果は納得できるものです。

まとめ

体重管理に体重計測は役に立つ