自重の片側性トレーニングはランニング時の筋活動の左右差を減らせるかもしれない

2021年8月22日

はじめに

筋力発揮、筋活動、動作の左右差は傷害(怪我)のリスク因子といわれています。
当サイトでも以前、股関節外転筋・外旋筋の筋力の左右差が過去のランニング障害の有無と関係していた論文を紹介しました(リンク)。

今回は、プロサッカー選手を対象としてランニング時の筋活動(大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋)の左右差を減らすことを目的とした自体重トレーニングの効果を報告した論文を紹介します。

論文概要

出典

Mrzygłód, S., Pietraszewski, P., Golas, A., Jarosz, J., Matusiński, A., & Krzysztofik, M. (2021). Changes in Muscle Activity Imbalance of the Lower Limbs Following 3 Weeks of Supplementary Body-Weight Unilateral Training. Applied Sciences, 11(4), 1494.

方法
15名のプロサッカー選手を対象

シーズン中にトレーニング介入

トレーニング内容は下記のとおり
期間:3週間
頻度:4回/週(月・火・木・金)
種目:バードドッグ、グルートブリッジシングルレッグプログレッション、デットバグ、サイドプランク、リバースランジ、クラムシェル
回数・セット数:10回×3~5セット
休息時間:60秒

トレーニング期間の前後に時速18kmのトレッドミル走行を実施し、そのときの大腿四頭筋、ハムストリングス、殿筋の筋活動を表面筋電図によって評価

結果
・筋活動の左右差は大腿四頭筋に比べてハムストリングス、殿筋で大きい

・ハムストリングス(17.07%→6.47%)、殿筋(21.53%→12.13%)の筋活動の左右差はトレーニング期間後に減少。大腿四頭筋の筋活動の左右差は有意な変化なし(8.13%→7.6%)

解説

この論文は、プロサッカー選手に対してシーズン中に3週間の補助的なウエイトトレーニング(自重の片側性エクササイズ)を実施させたところ、ランニング時のハムストリングスと殿筋の筋活動の左右差が減少したことを明らかにしました。

下肢の筋力や筋活動、動作には左右差が生じる場合が多く、著しい左右差(15%以上)は傷害と関係することを示唆する論文は散見されます。

一方で、左右差の解消を狙ったアプローチの有効性を検証した論文はあまり多くはありません。
この論文は、エリートアスリート(プロサッカー選手)を対象として、それも自体重で実施できる片側性エクササイズの効果を検証したという点で価値の高い研究です。

一般に、両側性のエクササイズ(例えばスクワット)では筋力が高い側の力発揮に依存する可能性があるため、片側ずつ刺激を与えられる片側性のエクササイズの方が左右差の減少には向いていると言われています(ただし、そのことを明確に証明する論文はあまり存在しません)。
したがって、この論文においても片側性のエクササイズを取り入れることで、左右脚それぞれに適切な負荷でトレーニングができ、左右差の減少につながった可能性があります。

ただし、この論文はコントロール群(トレーニング介入をしていないグループ)を設けていないことから、左右差が減少した理由をトレーニングプログラムの効果のおかげと言い切るには限界があります。
また、実際の動き、例えば関節角度、重心位置などの左右差を評価していない点も研究の限界です。

このような研究の限界があり、拡大解釈しないために注意が必要ですが、少なくとも左右差を解消するアプローチの有効性を示唆するデータとは言えるでしょう。

まとめ

片側性エクササイズはランニング時の筋活動の左右差を減らせる可能性がある