COVID-19流行による外出制限措置中の睡眠の質はメンタルヘルスと関係する

はじめに

COVID-19は感染者の健康に直接影響を与えるだけでなく、間接的にも我々の健康に影響を及ぼします。
実際、COVID-19の感染が世界中で拡大以降、多くの研究グループがCOVID-19感染拡大防止を目的とした政府の外出制限措置・ロックダウン(都市閉鎖)によって、人々のライフスタイルにどのような影響を及ぼしたのを検証しています。
当サイトでもこれまでにCOVID-19と健康に関して下記の2つの記事を投稿しています。
・COVID-19パンデミック中の閉経後女性の精神的不安と身体活動との関係(リンク
・睡眠不足や不活動な人は、COVID-19に苦しむ可能性が高まるかもしれない(リンク

今回は、ヨーロッパの中でもCOVID-19の影響が甚大なイタリアを対象として行われた、外出制限期間中の睡眠の質を調査した論文を紹介します。

論文概要

出典
Franceschini, C., Musetti, A., Zenesini,C., Palagini, L., Scarpelli, S., Quattropani, M. C., Lenzo, V., Freda, M. F.,Lemmo, D., Vegni, E., Borghi, L., Saita, E., Cattivelli, R., De Gennaro, L.,Plazzi, G., Riemann, D., & Castelnuovo, G. (2020). Poor Sleep Quality andIts Consequences on Mental Health During the COVID-19 Lockdown in Italy. Frontiers in psychology, 11, 574475. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.574475

方法
対象者:イタリア在住の6519人
調査方法:インターネット調査
調査期間:政府による厳しい外出制限措置がとられた3月10日―5月4日
調査項目:人口統計学的情報、睡眠の質(Medical Outcomes Study-Sleep scale)、メンタルヘルス(Depression, Anxiety, and Stress Scale-21 Items)

結果
対象者の55.32%(35562人)が睡眠の質が悪いと回答

回帰分析の結果、低い睡眠の質と関係していたのは下記の項目
・性別(女性)
・居住地(中央イタリア)
・COVID-19によって亡くなった人が近くにいる
・睡眠覚醒リズム(就寝時間や起床時間の変化)
・昼寝の減少
・過度なレベルのストレス・不安・鬱

解説

睡眠の質の確保は、健康的に過ごすために必要不可欠な要素です。
しかし、いくら睡眠が大事と分かっていても、様々な原因によって睡眠の質が低下することがあります

この論文では、COVID-19流行による外出制限措置が厳しい時期に睡眠の質が低いと回答した人は、半数以上もいたことを報告しています。
また、低い睡眠の質と関連する要因には、性別(女性)、居住地(中央イタリア)、COVID-19によって近い人が亡くしている、睡眠習慣の変化、メンタルヘルスの悪化が挙げられました。
論文では、関連が認められた要因の一つひとつについて、考察しています。

このような要因は、
・自分自身で解決できるもの
・家族や専門家など周囲のサポートの協力によって解決できるもの
・解決が困難なもの
に分けられると思います。
したがって、まずは睡眠の質を妨げている要因を見極めた上で解決できそうなものからアプローチしていくのが大事だと思います。

なお、論文の対象者数は比較的多いものの、いくつかの大学を通してアンケート調査の募集が行われたため、回答者の属性にはやや偏りがありました。
したがって、必ずしもイタリア国民全体の傾向を表しているわけではないという点に注意が必要です。

まとめ

COVID-19流行中の低い睡眠の質は、様々な要因と関係する