トレッドミルvs外でのランニング トレーニングの効果は違うのか?

2022年9月9日

はじめに

ランニングマシン、別名トレッドミルは、心臓血管系機能を鍛えるための機器です。
ランニングマシンを使うことで、天候に左右されずにランニングを楽しむことができます。

一方、動くベルトの上を走る性質のため、外での通常のランニングに比べると効果が劣るという指摘もあります。
しかし、そういった指摘でも、そもそも何に対する効果を言っているのか、不明瞭な場合もあります。

今回紹介する論文では、ランニングマシンと競走用トラックで6週間にわたりトレーニングをした際の効果を比較検証しています。

論文概要

出典

Singh G, Kushwah G, Singh T, Ramírez-Campillo R, Thapa RK. 2022. Effects of six weeks outdoor versus treadmill running on physical fitness and body composition in recreationally active young males: a pilot study. PeerJ 10:e13791 https://doi.org/10.7717/peerj.13791

方法
レクリエーショナルな若年男性28名をランダムに下記2群に割り当て
・アウトドアランニング群(OR:14名)
・トレッドミルランニング群(TR:14名)

トレーニング介入は下記のとおり
期間:6週間
頻度:3回/週(ランニング)、1回/週(自体重のストレングストレーニング)
ランニングトレーニングの内容:
W-up@10-15分→30分@60-80%推定最大心拍数→C-down@10-15分
自体重のストレングストレーニングの内容:
プッシュアップ、プランク、スクワット、ジャンプスクワット、ランジ、クランチなどをサーキット形式で実施

トレーニング期間の前後に下記項目の測定を実施
・50m走
・1600m走
・立ち幅跳び
・シット&リーチテスト(柔軟性)
・プッシュアップ(最大反復回数)
・体組成(体重、体脂肪率、除脂肪量、下肢骨格筋量)

結果
50m走、1600m走、立ち幅跳びは時間×群の交互作用あり
両群で増加したものの、アウトドアトレーニング群の増加が顕著

柔軟性、プッシュアップは時間の主効果あり
両群で増加

体脂肪率は時間の主効果あり
両群で減少

下肢の骨格筋量はトレッドミルランニング群のみ減少

解説

同じ走るという運動でも、ランニングマシンと屋外を走るのでは効果が違うのか?
そんな素朴な疑問に一つの見解を与える論文です。

得られた結果は、いずれも体力を向上させるものの、外で走った方が優れた効果を引き出せることを示しています(50m走、1600m走、立ち幅跳び)。
また、ランニングマシンで走ったグループは下肢の骨格筋量が減少していました。
この結果をもとに考えると、もし自由に選べるのであれば屋外を走った方がオススメです。

論文の著者らは、
1) ランニングマシンと比べると、芝生やコンクリートを走ると、下肢筋群の筋活動レベルが高まること
2) ランニングマシンでは脚のスイング振幅、垂直方向の変位、垂直方向や水平方向の速度の変動が小さいこと
といった先行研究のエビデンスをもとに、効果の差異の理由を推察していました。

こういったエビデンスは、マイナスに捉え過ぎないことが大切です。
少なくとも何もしないよりはランニングマシンでも走った方が体力的にはプラスです。
したがって、基本的には屋外で走ることを優先しつつ、悪天候や外で走る気にならない際にはランニングマシンを楽しめば良いのです。

また、ジムでウエイトトレーニングを実施しているトレーニーにとっては、屋外でのランニングは優先度が低いかもしれません。
そういう人にとって、ジムでランニングマシンを活用することは有酸素フィットネスを向上させる有効な手段と言えます。

まとめ

トレッドミルより外で走った方が体力向上効果は優れる